特定技能でタイ人を雇用・採用する方法と日本で働く理由などを紹介
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少子高齢化の進む日本は労働力人口が年々減少傾向です。そこで日本政府は、外国人労働者の受け入れを拡大するため、特定技能の在留資格を新設しました。
特定技能とは、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人の受け入れを目的に2019年に創設された在留資格です。
特定技能の在留資格が創設されたことで注目されているのがタイ人の雇用です。特定技能の資格を保有するタイ人は年々増加しております。
出入国在留管理庁によると、2023年6月時点の特定技能1号で在留するタイ人は3,499人となり、日本で働く外国人労働者全体で7番目に多い人数となります。
この記事では、特定技能で在留するタイ人が増加する背景と、雇用する企業のメリットを紹介します。タイ人の雇用に興味関心のある方は是非参考にしてみてください。
目次
雇用が注目されるタイ人の基本情報
首都のバンコクやワット・プラケオ、ワット・ポーなどの美しい寺院が有名なタイですが、実態としてはどのような国なのでしょうか。まずはタイの基本情報を紹介いたします。
参考:タイ基礎データ|外務省
タイの面積と位置
タイの面積は約51万km²(平方キロメートル)で、日本の約1.4倍の大きさです。
東南アジアに位置するインドシナ半島にあります。東はカンボジアとラオス、南はマレーシア、西はミャンマー、北はラオスとカンボジアに国境を接しており、東側はタイランド湾とアンダマン海に面しております。
日本からタイへの距離は、東京からバンコク(タイの首都)で直線距離が概ね4,600キロメートルで、日本からバンコクへのフライト時間は6時間から7時間と、比較的近い国となります。
タイの労働力人口
タイは6,609万人(2022年・タイ内務省)の人口を抱える国で、東南アジアの人口が多い国の一つです。タイの人口は急速に増加しており、1960年には2,000万人弱だったのが、現在ではその3倍以上に急増しています。
特にタイの首都であるバンコクは国内最大の都市で、その都市圏には多くの人々が住んでいます。
また、タイ人の15 才から 64 才の男女を合わせた労働力人口は、2020 年時点で約 5,000 万人となっており、全人口の 71%と多くの割合を占めているのです。人口が急速に増加した影響で年齢構成が若く、豊富な労働力が存在します。
タイ人の民族と宗教
タイに居住する主要な民族はタイ人ですが、民族構成は多様で多くの少数民族も暮らしております。代表的な少数民族は、中国系タイ人、モン族、カレン族、アカ族です。少数民族の多くは自分たちの伝統的な生活様式を維持し、山岳地帯や国境地域に住んでいます。
宗教は仏教が主要であり、仏教の創始者である釈迦が尊崇されています。仏教の実践と儀式は、タイの文化と生活に深く根付いており、多くの寺院や僧院が国内に点在しています。
また、タイでは仏教以外にも多くの宗教が存在します。イスラム教、キリスト教、ヒンドゥー教などが信仰されており、宗教的な多様性が国内で受け入れられています。
タイ人の使用する言語
タイ国内では多くの人がタイ語を使いコミュニケーションを図ります。しかし、タイには多くの少数民族も暮らしており、彼らは独自の言語を持っています。
また、首都バンコクは「世界で人気の旅行先ランキング」で4年連続1位に輝く人気の観光地です。バンコクを中心に世界中の様々な国の人々が訪れます。そのため、英語を使えるタイ人も多く存在します。
タイ人の国民性
タイには「マイペンライ」という言葉があり、日常生活に広く浸透しています。「マイペンライ」とは、「大丈夫」「気にしないで」「問題ありません」といった意味を持つ表現です。
「マイペンライ」の起源は、仏教とタイの歴史にさかのぼります。仏教はタイの主要な宗教であり、その教えは穏やかさ、思いやり、そして過去の過ちを許すことを奨励しています。
この宗教的背景から、「マイペンライ」の精神が生まれたとされております。また、仏教の教えから、人々は他者に対して思いやりを持ち、優しく接することが重要であると学んでいるのです。
困難な状況に対しても冷静に対処し、他者との関係を損なわないように努力します。訪問者や外国人に対しても歓迎的で親切な態度で迎えてくれるため、多くの観光客がタイを「友好的な国」として認識しています。
タイ国内の経済状況と平均賃金
タイは新興工業国として急速に成長した国で、国内総生産(GDP)は、観光業、製造業、農業、輸出入など多岐にわたる分野に支えられ、上昇傾向です。
特に観光業はタイの主要な経済セクターであり、コロナ過の影響で一時衰退していたものの、2021年以降は回復しております。
経済成長に伴い物価も上昇しておりますが、雇用面では賃金の課題を抱えています。
タイ中央銀行(BOT)の統計によると、タイの賃金は、2022 年 8 月の全産業平均で月額 19,970 バーツ、日本円に換算すると月額約8.3万円と低い水準です。
特に、就労者の割合が全体の30%を占める農林水産業の賃金は 月額10,500 バーツ(約4.3万円)と更に低く、全産業平均から大きく下回っている厳しい状態です。
このように、タイ国内の賃金格差は大きな課題となっております。また、低所得者の雇用は不安定な場合も多く、生活難から海外に出稼ぎを希望する人も多くなっております。
在日タイ人の雇用実態と日本で働く背景
政府統計によると、2022年12月時点の日本で働くタイ人は56,701人で、国別外国人数の9位になっています。在留資格別にみると、身分に基づく在留資格が5割以上を占めておりますが、技能実習や留学、特定技能の在留資格で在留するタイ人も存在します。
日本に在留する理由は人それぞれ異なりますが、賃金や生活面のメリットや、日本政府が行った外国人労働者の受け入れ拡大により、近年在日タイ人は増加傾向です。
タイ国内は賃金が安く生活が苦しい
タイ人の平均年収は経済発展と共に上昇傾向にあるものの、賃金水準は低い状態です。一方、物価は年々上がっており、ホワイトカラーの企業に就職できないタイ人は生活が厳しい状態です。
一方、国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、日本の平均月収は36.9万円となっており、タイ人の平均月収(約8.3万円)と比較すると約4.4倍もの差があります。そのため、日本を含めた海外で働き、生計を立てるタイ人は増加傾向にあります。
日本はタイ人にとって生活しやすい
日本は世界的にも治安が良く、衛生的で生活しやすい国とされております。安心して生活ができる日本は出稼ぎ国として人気があります。
また、タイと日本は歴史的に貿易と文化交流を行ってきました。料理や仏教・寺院など、様々なタイの文化が広がっており、生活に馴染みやすくなっております。日本での生活メリットが、タイ人増加の一因となっています。
特定技能の導入で外国人労働者の受け入れを拡大
日本政府は外国人労働者受け入れ制度の拡大を目的に、2019年4月に「特定技能」の在留資格を新たに導入しました。特定技能とは、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的に創設された在留資格です。
特定技能の在留資格が新設されたことで、外国人労働者が就業できる業種や在留期間が拡大しました。また、タイ人の雇用の枠が広がっており、今後ますます増加すると考えられます。
タイ人を雇用する3つのメリット
タイ人の雇用は、受け入れ先である日本企業にとって多くのメリットがあります。タイ人雇用のメリットを3つ紹介いたします。
優れた能力を持つ人材を確保できる
タイ社会は学歴が重要視されており、全体的に学習意欲が高い特性があります。
教育制度も充実しており、小学生の就学率はほぼ100%、2005年の時点で青年層の識字率は98%と世界的にも高い水準です。
タイ人は他のアジア諸国と比較して高学歴者が多い傾向にありますが、高所得企業への就職は狭き門となっており、希望する仕事に就業できない人も多い状態です。
タイ国内の高所得企業で就職出来なかった優秀なタイ人は、生活の苦しい国内よりも海外に出稼ぎする場合があります。そのため、優れた能力を持つタイ人を雇用できる可能性が高まります。
タイ人の人間性が日本企業で馴染みやすい
多くのタイ人は、仏教の教えによる互いを尊重し合う、人を助けるということを大切にしています。困っている人がいれば、自らを犠牲にしてでも他者を助け、徳を積むというマインドは、輪を大切にする日本企業に馴染みやすいと考えられます。
また、「マイペンライ」の精神により、ポジティブな考えと温厚で平和主義な人が多く、コミュニケーションが図りやすいメリットが挙げられます。
タイ企業やタイ人顧客との取引を強化できる
タイは経済的に成長し、多くの国際的な企業が進出している市場です。タイはアジアでの戦略的な拠点として位置づけられ、ASEAN(東南アジア諸国連合)との経済連携においても重要な役割を果たしています。タイ人の雇用は言語や文化・習慣を共有できます。その結果、タイ顧客との関係性構築や集客など様々な機会をもたらし、競争力を高める手助けとなる可能性があります。
タイ人の雇用は特定技能制度の活用がおすすめ
タイ人の雇用は特定技能制度の活用がおすすめです。特定技能の在留資格であれば、人手不足の様々な産業分野で長期的に在留することができます。
また、特定技能の在留資格で働くためには、日本語能力水準・技能水準の両方の試験に合格する必要があり、言語や技能レベルの高い即戦力の確保が期待できるからです。
しかし、タイ現地で採用活動を行い、特定技能の在留資格を取得するには、現地エージェントとの連携や申請書類の作成など、雇用までのハードルが高いことも事実です。
自社で対応が難しい場合には、タイ人を含めた外国人採用に強みのある人材紹介会社を活用すると良いでしょう。自社に採用の知識やノウハウが無い状態でも、採用から雇用のサポートやアドバイスを受け、優秀な人材の確保に繋がります。
まとめ
タイ人の雇用は日本人の労働力不足を補う有効的な手段です。学習意欲の高い傾向にあるタイ人の雇用は、言語やコミュニケーションの問題も解決しやすく、雇用する企業にとって多くのメリットが期待できます。
しかし、日本に居住しているタイ人はまだまだ少なく、雇用を進めるにはタイ現地での採用活動が効果的です。自社での対応が難しい場合には、タイ人を含めた外国人雇用を得意とする人材紹介会社へ相談すると良いでしょう。受け入れニーズに応じての提案を受け、優秀なタイ人の雇用が期待できます。
キャリアリンクファクトリーでは、特定技能やインターンシップなどのサービスを提供しております。人材不足でタイ人スタッフの受け入れをご検討中の場合、まずはお気軽にご相談ください。