【最新】育成就労制度に名称変更で外国人技能実習制度を廃止に!最終報告書の内容と受け入れ企業への影響とは

外国人雇用
公開日:23.06.08/更新日:24.08.22
【最新】育成就労制度に名称変更で外国人技能実習制度を廃止に!最終報告書の内容と受け入れ企業への影響とは

外国人が日本で働きながら技術を学ぶ技能実習制度は、発展途上国の人材育成を通じた国際貢献を目的として開始されましたが、実態は労働環境が厳しい業種を中心に人手を確保する手段になっており、全国の技能実習生は2022年6月末時点で33万人もの数となります。

制度の目的と実態が乖離していることでいくつかの問題が発生しており、対応として技能実習制度の廃止や新制度の創設が進められております。

そして、2023年11月22日に技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の開催が行われました。そして、2022年12月から16回にわたり開催された有識者会議の内容を踏まえた最終報告書が、2023年11月30日に法務大臣に提出されたと報道されました。

この記事では、最終報告内容と技能実習生の受け入れを行っている企業が、技能実習制度の廃止・新制度に移行することで想定される影響と、人材不足の解消を技能実習生に依存している企業の対策について紹介させていただきます。

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結局どうなる?!育成就労制度。技能実習制度廃止に伴う今後の外国人雇用について

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【追記】技能実習制度が廃止に!育成就労制度に名称変更へ

現行の技能実習制度について、「外国人の人権保護」「外国人のキャリアアップ」「安全安心・共生社会」の視点に重点を置いて見直しが行われてきました。また、見直しの4つの方向性としては、次の通りです。

・技能実習制度を人材確保と人材育成を目的とする新たな制度とするなど、実態に即した見直しとすること
・外国人材に我が国が選ばれるよう、技能・知識を段階的に向上させその結果を客観的に確認できる仕組みを設けることでキャリアパスを明確化し、新たな制度から特定技能制度への円滑な移行を図ること
・人権保護の観点から、一定要件の下で本人意向の転籍を認めるとともに、監理団体等の要件厳格化や関係機関の役割の明確化等の措置を講じること
・日本語能力を段階的に向上させる仕組みの構築や受入れ環境整備の取組により、共生社会の実現を目指すこと

最終報告書(概要)

そして、2023年11月30日に今の技能実習制度を廃止するとした最終報告書がまとめられ、人材の確保と育成を目的とする新たな制度として「育成就労制度」とする案があり、おおむね賛同を得られ、2024年2月9日に政府は技能実習制度を廃止して、新たに「育成就労制度」を設けるとした方針を決定しました。

また、最初の受け入れ先で1年~2年の範囲で一定期間働くなどの要件を満たすことで、同じ分野であれば別の企業への転籍を認めるとしました。期間に幅がある理由は、地方からの人材流出が懸念されるため、分野によっては最長2年としています。

岸田総理大臣は「わが国が外国人材から選ばれる国になるという観点にたち、方針に基づいて制度の見直しに向けた作業を進める。外国人材の受け入れ環境の整備に取り組んでほしい」と指示しました。

【追記】提言内容について

最終報告書の提言内容のうち、いくつか重要な点をピックアップしました。現状、最終報告書として法務大臣へ提出された段階です。全ての提言が制度へ反映されるかどうかは今後発表があると考えられます。

外国人の人材確保の仕組み

新たな制度の受入れ対象分野は、現行の技能実習制度の職種等を機械的に引き継ぐのではなく、新たに設定するとされています。また、特定技能1号への移行を向けた人材育成を目指すため、受け入れ対象分野を特定技能制度における特定産業分野に限ると提言されています。

参照:最終報告書:外国人の人材確保の仕組み

【24/3/29】追加された特定技能の産業分野

2024年3月29日の閣議決定にて、特定技能制度の運用に関する基本方針の変更がされ、その一つに特定技能の受け入れ対象分野等の追加が行われました。新たに追加された分野は次の通りです。

  • 追加された特定技能の産業分野
  • 食料品スーパーマーケットの食料品部門における惣菜等の製造
  • 総合スーパーマーケットの食料品部門における惣菜等の製造
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 林業
  • 木材産業
  • 紙器・段ボール箱製造
  • コンクリート製品製造
  • 陶磁器製品製造
  • 紡織製品製造
  • 縫製
  • RPF製造
  • 印刷・製本
  • プラスチック製品
  • 金属製品塗装
  • 梱包関連

今回の閣議決定により、技能実習制度では受入れ可能でも特定技能では対象外の分野だったものが、特定技能の対象に変更されました。また、今後人材不足が懸念されている運送ドライバーも受入れ可能になりました。

2024年7月23日に、総合スーパーマーケット(ただし、食料品製造を行うものに限る。)及び食料品スーパーマーケット(ただし、食料品製造を行うものに限る。)における特定技能外国人の受入れについて制度が施行されました。これにより、食料品スーパーマーケット及び総合スーパーマーケットの食料品部門における惣菜等の製造に特定技能外国人の受け入れが可能になりました。

外国人の人権保護・労働者としての権利性の向上

新たな制度では、現行の技能実習制度で認められている「やむを得ない事情がある場合」の転籍の範囲を拡大・明確化し、手続を柔軟化するとし、計画的な人材育成などの観点から、一定要件「同一の受入れ機関における就労期間が1年超」「技能検定試験基礎級等及び日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)の合格」「転籍先機関の適正性」などを設け、同一業務区分に限ることなどを条件に本人の意向による転籍も認めると提言されています。

参照:最終報告書:外国人の人権保護・労働者としての権利性の向上

技能実習制度とは

そもそも技能実習制度とは、技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転し、経済発展を担う人づくりに寄与することで、国際貢献することを目的として1993年に創設された制度です。2017年11月、「外国人の技能実習の適正な実務及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が施行され、新たな技能実習制度がスタートしました。

技能実習生は建設業・食品製造業・耕種農業・機械加工など87の職種で、最長5年間技能を実習しながら学ぶことができます。

出入国在留管理庁によりますと、技能実習生は2022年6月時点でおよそ33万人、その内の5割以上がベトナム人となっております。

引用:【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】 | 出入国在留管理庁

技能実習制度の在留資格は、技能実習1号〜3号の3つがあります。最初は技能実習1号から始まり、実技・学科試験に合格することなど一定の要件を満たすことによって2号・3号と進み、最長5年まで在留することができる制度の仕組みとなっています。

技能実習生は技能を習得することが目的であり、労働者ではなく実習生に分類され、受け入れ企業に所属しているが、労働者としての雇用関係にはないのが一般的です。

技能実習制度の問題点とは

技能実習制度の問題点とは

途上国への技術移転という目的で創設された技能実習制度ですが、現在の実態としては労働力の確保が目的となっているケースが多く、目的と実態が乖離(かいり)していることでいくつかの問題が発生しております。

技能実習生が実習生として扱われていない

技能実習生として扱われるはずが、多くの企業では人手不足を補う労働力として扱われている実態があります。しかしながら、制度上では技能実習生は「労働者」ではなく「実習生」に分類されており、実習先が決まった後の転職(転籍)は原則不可となっております。

転職(転籍)ができないことによる問題点

実習先企業によっては、違法な低賃金の給与設定、長時間労働の強要、暴力やパワハラなどの扱いを受ける場合があります。

日本人や外国人労働者の場合は転職することができますが、技能実習生が違う実習先に移ることは原則不可となっております。企業へ実習生の仲介やトラブルが起きた場合に対応を行う「監理団体」が存在しますが、監理団体によっては技能実習生が実習先で発生した問題を相談しても、対応されないケースが発生しております。

その場合、同じ実習先で実習期間が終了するまで我慢するか、職場から逃げ出すしかない状態となり、2021年に実習先の職場から逃げ出した技能実習生の数はおよそ7000人にのぼります。

引用:技能実習制度の現状 (不正行為・失踪)

技能実習制度の廃止・新制度はいつから?

技能実習生に対する問題を解決するため、2022年11月に政府の有識者会議が行われました。技能実習制度の廃止や新制度の創設が進められており、2022年12月から16回にわたって議論が行われてきました。

2023年4月に発表された中間報告では、技能実習にかわる新制度は特定技能への移行を念頭に置いたうえで検討を進めてきましたが、2023年11月に最終報告書がまとめられ、11月30日に法務大臣へ提出がされています。正式な変更は2024年以降の予定となっております。

新たな制度へ変更に伴い、地方や中小零細企業の人材確保が図られるように配慮すると記載がありますが、技能実習制度の廃止・新制度創設は、技能実習生を受け入れしている企業に大きな影響を及ぼす可能性があるため、内容や方向性を理解し早期に対応策を検討することも大切です。

  • 技能実習制度見直しを巡る中間報告の主な内容(2023年4月)
  • 制度目的と運用実態が乖離している⇒技能実習制度を廃止する方向
  • 人手不足が深刻化し技能実習生が貴重な労働力となっている⇒人材確保と人材育成を目的とする新制度の創設
  • 転籍できないことで悪質な実習先企業から離れられず人権侵害を助長する可能性がある⇒転籍の制限を緩和する
  • 新制度の対象業種や分野は特定技能制度(人手不足の分野で外国人の労働が認められる在留資格)と一致させ、外国人労働者が中長期的に活躍できる制度の構築を図る
  • 不適切な就労を放置するなど悪質な監理団体がある⇒技能実習制度の管理団体に対する認定要件を厳格化する

受け入れ企業への影響

技能実習制度が廃止され新制度が創設することで、目的と実態の乖離が是正されることが期待されます。

一方、新制度が創設されることで、人材の確保を目的として技能実習生の受け入れを行っていた企業に影響を及ぼす可能性があります。

技能実習生の受け入れ先企業は、技能実習生が海外から渡航する際に発生する費用や、住居に関する支援、入国後の日本語の講習料などの費用を負担し、受け入れ後も日本で生活・技能実習をするサポートを行っているケースが多く、技能実習生の受け入れは一般的な求人と比較しても費用が高く、手間がかかることが一般的です。

現在は受け入れ後の転職(転籍)が原則不可となっており、技能実習生の定着率は高い傾向にありますが、今後転職(転籍)が可能となれば、受け入れた技能実習生が給料の高い都市部の企業や賃金の高い業種などに転職(転籍)してしまう可能性があります。

受け入れを行った技能実習生の転職(転籍)が可能となれば、受け入れを行うメリットが少なくなり、技能実習生の受け入れ自体が立ちゆかなくなる可能性があります。

人材不足の解消を技能実習生に依存している企業の対策

人材不足の解消を技能実習生に依存している企業の対策

技能実習制度の変更内容によってはこれまで通りに技能実習生の受け入れ・就労ができなくなる可能性があり、技能実習生に人材不足の解消を依存している企業は人手不足に陥る可能性があります。

人手不足に陥ると、顧客・従業員満足度の低下、それによって生産性が下がり、気がついた時には企業経営にとって取り返しがつかない状態まで進んでしまう可能性があります。このような深刻な影響も起こりえますので、人手不足を補うための対応を検討することが大切です。

人材派遣を導入する

派遣会社には多くの派遣社員が雇用・登録されており、派遣社員の導入を行うことで、人手不足の解消が期待できます。同業種の経験がありスキルのある派遣社員をマッチングすることができるケースもあります。繁忙期や突発的な業務の対応で期間的に人手が必要な場合には登録型(一般)派遣を依頼し、長期的に人手が必要な場合には常用型派遣や紹介予定派遣の依頼を行うことが効果的です。

紹介予定派遣では、実際に働いている様子を見た後で直接雇用を行えるので、直接雇用後のミスマッチが起こりにくくなります。

また、採用・雇用を行うには、求人募集・面接対応・入社手続き・労務管理・退職処理など、膨大な手間と広告費や人件費のコストが発生します。しかし、派遣社員を導入すると、求人や雇用に関することは派遣会社が行うため、自社の手間やコストを大幅に低減できることが期待できます。

人材派遣の導入に関しては下記の記事にて詳しく紹介しております。是非合わせてご覧ください。

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外国人インターンシップ制度を活用する

外国人インターンシップとは、大学在学中の外国人学生が企業研修に出向き「会社がどのようになっているのか」「どんな仕事をするのか」「どういう人間関係があるのか」などを働きながら実践的に学ぶ制度です。

少子化の影響によって日本人の労働力が減少しており、人手不足を補うため外国人を積極的に採用している企業も多くなっております。

外国人インターンシップ制度は、優秀な留学生や外国人労働者を日本の企業に引き込む貴重な手段です。異なる文化やバックグラウンドを持つ人材が企業に参加することで、多様性が生まれ、創造性やイノベーションが促進されます。

また、異文化の理解や国際的な視点を持つ人材の参加は、グローバルな展開を目指す企業にとって非常に価値のある資源となります。

真面目な外国人大学生がインターンシップ制度を通じて就労することで、人手不足の解消が期待できます。

外国人インターンシップ制度を導入するには、海外の大学とパートナーシップの構築や、申請書類の適切なサポート体制を整備するなど、ハードルが高いことも事実です。

導入にはハードルが高いと感じる場合、外国人インターンシップ制度を導入している人材紹介会社にアウトソーシング化することで効率的に導入を進められる場合があります。

キャリアリンクファクトリーでは、外国人インターンシップ制度を導入している人材派遣会社でもあります。当社のインターンシップは信頼できる提携大学のサポートのもと、最長1年間、勤務シフトに対しての「欠勤や退職、転職もなく」仕事に取り組む海外大学生を紹介いたします。

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まとめ

人手不足を補うために技能実習生の受け入れを行っている企業には技能実習制度の廃止が検討されている中、今後の内容や方向性を把握していくことは大切です。また、人手不足は企業にとって深刻な問題となる可能性があり、採用から教育にかかる時間を考えると早めに対応を進めることが大切です。

人手不足を補う方法を1つの方法に依存すると、その方法で人手不足が補えなくなった場合に他の方法を取り入れるまで時間がかかるため、従来から複数の人手不足を補う方法(人材派遣や外国人インターンシップ生など)を検討しておくことをおすすめいたします。

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