特定技能で働くベトナム人が増加する実態とメリットや注意点を紹介
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特定技能制度は、日本国内で労働力が不足している産業分野へ、すぐに活躍できる能力を持つ外国人労働者を迎え入れることを目的とした在留資格制度です。この制度により、必要な知識と技能を持つ外国人の受け入れが拡大しました。
特定技能の在留資格を得るためには、日本語能力試験と技能試験の両方に合格する必要があります。この要件により、言語コミュニケーション能力と一定レベルの技術を備えた外国人だけが、在留資格を取得できます。
特定技能のニーズは年々高まっており、中でもベトナム人の受け入れが特に増加傾向です。
この記事では、特定技能で働くベトナム人が増加する実態と、受け入れ企業のメリットや注意点を紹介いたします。
特定技能の在留資格で働くベトナム人の実態
日本で働く外国人労働者は年々増加しており、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新しております。その要因にはベトナム人労働者の増加が挙げられます。令和4年10月末現在、外国人労働者数は約182万人に上りますが、ベトナム人は約46万人(全体の約25.4%)で、その割合は最も多い状況です。
参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)|厚生労働省
特に、特定技能の在留資格で働くベトナム人は急増しております。令和4年3月末時点で、特定技能の在留資格で働く外国人労働者は6.5万人に達しておりますが、その中でベトナム人は4.0万人となり、実に全体の60%以上に相当します。
令和4年10月時点のデータによると、ベトナム人労働者の数は前年比で約0.9万人(102%)増加しています。特に、「専門的・技術的分野の在留資格」に分類される特定技能を持つベトナム人は、前年対比で約3.6万人(143%)まで急増している実態です。
このことから、特定技能の在留資格を持つベトナム人労働者への需要の高まりがわかります。
特定技能で働くベトナム人が増加する理由
日本で働くベトナム人が急増している背景には、ベトナム人にとってのニーズやメリットが存在します。
日本企業は賃金や労働・生活環境が良い
ベトナム統計総局の報告によれば、2022年の第2四半期におけるベトナム国内の平均月収は660万ドン(約38,280円)で、年間で見ると約79,200,000ドン(約459,360円)になります。世界的に見ても低い給与水準のベトナムでは、インフレによる物価の上昇が進んでおり、経済的に厳しい状況に置かれています。
このため、生活に困っている若者を含む多くの人々が海外で働き、家族を養っています。日本はベトナムと比べて給与水準が高く、労働環境や生活環境が良いとされており、ベトナムで人気のある国です。
また、ベトナムには数多くの日系企業が進出しております。日系企業は高度な技術力を活用して、新興国であるベトナムの経済発展に貢献しています。そのような環境から日本の先進技術を学びたいと考えるベトナムの若者も多く、日本での技術習得に対する関心が高まっている状況です。
ベトナム人にとって日本は馴染みやすい国
日本はベトナムに対して豊富な国際援助を行っており、その結果、多くのベトナム人にとって日本は良い印象を持っている方も多いです。
また、日本の文化はベトナムで広く受け入れられており、特にバイク社会において日本製のバイクが多く使われています。化粧品なども高品質で評価され、多くのベトナム人に愛用されています。
日本のアニメや漫画も広く普及し、特に若者たちには非常に人気があります。このように日本文化に親しんで育ったベトナム人にとって、日本は憧れの国であり、親しみを感じる存在だといえます。
ベトナム人技能実習生の多くは在留資格の変更が容易
特定技能の在留資格を取得するには、日本語の能力試験とそれぞれの職業分野に特有の技能試験に合格することが求められます。ただし、技能実習2号を無事に終えた実習生は、日本語の試験は免除されます。さらに、その実習内容が特定技能に必要な職種と一致していれば、能試験も免除されます。
日本では現在、約18万人のベトナム人技能実習生がおり、これは全体の技能実習生の約53%を占めている状況です。技能実習から特定技能に在留資格を変更することで、就労範囲や在留期間が拡大します。長く日本に在留して働きたいというベトナム人が、特定技能の在留資格に変更しているケースが増加しております。
特定技能でベトナム人を受け入れる企業のメリット
特定技能の在留資格を持つベトナム人の受け入れは、日本企業にとって多くのメリットが存在します。ここではそれらのメリットについて紹介いたします。
日本の少子高齢化による労働力不足を補うことができる
日本は少子高齢化により労働力人口が減少しており、特に34歳以下の若年層の減少が顕著です。2003年から2023年の20年間で若者労働者数は約157万人の減少が見られます。
人口の平均年齢は約49歳となり、世界で2番目に高齢化が進んでいる国です。このため、日本の多くの企業では若年層の労働者不足が深刻な問題となっています。
一方で、ベトナムの人口は年々増加しており、現在は約1億人にまで成長しております。平均年齢は約31歳と、比較的若い国民構成となっています。日本でのベトナム人労働者の受け入れは、日本の労働力不足の解消や、若い労働者の確保に対する大きなメリットが期待されています。
日本語や技能レベルの高い労働者を確保できる
特定技能の在留資格を取得するには、「日本語能力試験」と「技能試験」に合格しなければなりません。
そのため、特定技能の在留資格を持つ外国人労働者は、日本語と職業技能が高いレベルである可能性が高く、受け入れ企業ですぐに力を発揮することが期待されます。
ベトナム人の国民性が日本に馴染みやすい
ベトナム人は日本を高く評価しており、行きたい国ランキングで日本がトップに選ばれたことがあるほどの親日国です。ベトナムのインフラ構築に日本が関与している歴史や、ベトナム人が日本のドラマやアニメで育っていることが、日本への親しみの背景にあります。
宗教的な制約が少なくトラブルが起こりにくいことも、ベトナム人の特徴として挙げられます。これらの要因から、ベトナム人の国民性は日本と良い相性を持ち、他国の人々よりも受け入れが進めやすい状況です。
特定技能でベトナム人を受け入れする注意点
特定技能の在留資格でベトナム人を受け入れするには、いくつかの注意点があります。ここでは、それらの注意点についてご紹介いたします。
DOLAB認定の送出機関の利用が必要
ベトナムと日本は二国間協定を結んでおり、ベトナムから入国する労働者を雇用する際には、特定の手続きである「DOLAB」を経る必要があります。
DOLABとは、ベトナムの労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局の通称です。ベトナム人の受け入れは、DOLABが認定した送り出し機関を通じて労働者提供契約を結びます。DOLABがこの契約を承認すると、日本の企業はベトナム人労働者と雇用契約を結ぶことができます。
駐日ベトナム大使館から「推薦者表」の取得が必要
日本の企業がベトナム人と雇用契約を結んだ後、送出機関を通じてDOLABに申請し、推薦者表を取得する必要があります。この推薦者表がなければ、日本への入国に必要な在留資格認定証明書の申請ができないので、必ず取得が必要です。推薦者表の申請や発行の対応は基本的にベトナム語で行われるため、言語が理解できる人と同行するとスムーズに進みます。
特定技能でベトナム人を受け入れる企業の要件が定められている
特定技能制度では、受け入れ企業側に必要な4つの要件が設けられています。
- 受け入れ企業側に必要な4つの要件
- 外国人労働者と適切な雇用契約を締結している
- 過去1年で会社都合の解雇者がいない
- 分野ごとの協議会への加入が必要
- 義務的支援の実施体制を構築している
企業が自身で管理できる「適切な雇用契約」や「解雇者の有無」などの項目がある一方で、特定分野の協議会への加盟やその協議会の基準を満たしているかといった点は、自社だけでチェックするのが難しく注意が必要です。また、受け入れ後に必要な「義務的支援」は、指定された支援責任者や担当者が行うという点や、その実施内容は法律によって厳格に定められています。
特定技能でベトナム人を受け入れするポイント
特定技能制度そのものやベトナム独自の手続きは複雑で、自社で全てを行うには相当の知識と労力が必要です。支援は「登録支援機関」に委託することができますが、機関によってサポート内容や費用が大きく異なるため、慎重な委託先選定が重要です。
特定技能の在留資格や、ベトナム人労働者の受け入れに関する経験や知識が不足しており、実行する余裕がない企業の場合、日本国内の人材紹介会社の活用が有効です。受け入れプロセスをスムーズに進めるための支援から、受け入れ後のフォローアップまで提供し、受け入れ先企業の負担を大きく減らすことができます。
まとめ
特定技能の在留資格を持ったベトナム人の受け入れは、人手不足の解消や、技能レベルの向上など、多くのメリットが期待できます。ベトナム人の国民性は日本に馴染みやすく、仕事へのモチベーションも高い傾向にあり、より効果的に課題解決が進みます。
しかし、特定技能やベトナム独自の手続きは複雑で、自社で全てを行うには相当の知識と労力が必要です。自社での対応が難しい場合には、人材紹介会社への相談がおすすめです。受け入れまでのプロセスを効率化し、受け入れ業務の負担を軽減できるからです。キャリアリンクファクトリーでは、特定技能のサービスを提供しております。人材不足で特定技能外国人の受け入れをご検討中の場合、まずはお気軽にご相談ください。