特定技能フィリピン人の受け入れメリットと注意点 MWO・DMW
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人材不足の課題を抱える業種で外国人の受け入れが進んでおります。特に、特定技能制度を活用した外国人の受け入れ人数は年々増加傾向で、人手不足の解消や技能レベルの向上に繋がることから、多くの企業でニーズが高まっている状態です。
しかし、これから特定技能を検討していく企業では、どの国から外国人の受け入れを進めれば良いかわからず、お悩みではないでしょうか。
特定技能を含める外国人の受け入れにおいて、特にフィリピン人の需要が高まっております。その背景には、フィリピン人特有の受け入れメリットが存在しており、既に多くのフィリピン人が日本で働きはじめております。
この記事では、特定技能で受け入れが増加しているフィリピン人の特徴や、受け入れ完了までの流れと注意点を紹介します。この記事を読むことで、特定技能やフィリピン人の受け入れメリットを理解し、受け入れ先国選定の参考になります。
目次
日本で働く特定技能フィリピン人の実態
人材不足が加速する日本において、海外から優れた人材を受け入れられる特定技能制度での外国人受け入れは増加し続けています。2022年6月には日本全体で87,472人でしたが、翌年の2023年9月には188,811人にまで上っています。
特定技能の外国人が増加する背景には、特定技能の在留資格を持つフィリピン人の受け入れ拡大が起因の一つとして挙げられます。2022年6月時点の特定技能の在留資格を持つフィリピン人は8,681人でしたが、2023年9月では約2.2倍の19,575人にまで急増しているのです。
特定技能全体で国別の受け入れ人数をみると、フィリピン人は3位となっており、全体の約10%の割合を締めています。特定技能の在留資格を持つフィリピン人への需要は近年高まり続けています。
特定技能フィリピン人を受け入れする企業のメリット
特定技能の在留資格を持つフィリピン人の受け入れが急増する背景には、フィリピン人の国民性・国内人口・経済状況などの要因による、日本企業側のメリットが影響していると考えられます。それぞれ紹介いたします。
フィリピン人は若年層人口が多く、国外労働への抵抗も少ない
フィリピン人で人口の最も多い年齢層は約26歳(2019年時点)と、若年層の人口が多い国です。人口も約1.1億人と多く、さらに年々増加傾向です。
また、フィリピン国内での平均月収は約12万円で、日本やアジア諸国と比べて賃金が比較的低い傾向にあります。若者を中心とした生活が苦しい人々が国外で出稼ぎしており、その割合はフィリピン人全体の約1割を占めております。
技能実習生の人口が多い
特定技能1号の在留資格を取得するには、「日本語能力試験」と、業種ごとに実施される「技能試験」に合格しなければなりません。
しかし、「技能実習2号」を良好に修了した実習生は「日本語能力試験」が免除され、更に技能実習での職種・作業内容と、特定技能の職種が一致する場合には「技能試験」も免除されます。
職種・作業内容が一致する技能実習2号修了者は、潜在的な特定技能外国人と言えます。
現在、フィリピン人の技能実習生は国内在留31,925人になり、在留者数は中国を抜いて3位となりました。特定技能1号に在留資格を変更できる人材が多いということは、受け入れ企業の大幅な負担減少に繋がります。
英語が共用語となっておりコミュニケーションが図りやすい
フィリピン人の共通言語はタガログ語ですが、学校教育や公用会話で英語を学んでおり、約9割以上のフィリピン人が英語を使えると言われております。
他国の人材では、簡単な英語も伝わらない場合もあります。英語でコミュニケーションが取れるだけで現場職員の負担は大きく減少します。
また、特定技能外国人が理解できる言語での支援体制は、受け入れ企業側に求められる要件の1つです。英語が理解できる場合には、支援体制の準備も格段に容易となるでしょう。
フィリピン人は適応能力が高く家族への思いやりが強い
フィリピン人の多くは明るく寛容な性格で、見ず知らずの人とも気軽にコミュニケーションを取れる国民性を持っています。
普段の生活から多くの外国人や民族と接しており、日常生活から異文化間のコミュニケーションを築き上げております。社交性の高さと異文化に対する高い適応能力により、新たな環境にもスムーズに馴染みやすい傾向です。
また、フィリピン人は家族への思いやりが強く、稼ぎで母国の家族を支えたいという考えから、高い就業意欲を持つ人材が見つかる可能性があります。
特定技能フィリピン人の受け入れは「DMW(旧・POEA)」「MWO(旧・POLO)」に注意が必要
フィリピン国民の多くが出稼ぎ労働者であるため、フィリピン政府は出稼ぎ労働者の把握と保護やサポート・権利の促進を目的とした、政府主導の独自制度を設けております。
特定技能でフィリピン人を受け入れるには、独自制度である「DMW(旧・POEA)」「MWO(旧・POLO)」に注意が必要です。
DMW(旧・POEA)とはフィリピン移住労働省の通称
DMW(Department of Migration Workers)とは、OFW(海外で働くフィリピン人労働者)の保護や医療サービスの提供、海外労働のための手続きに関するワンストップ窓口となることを任務とするフィリピンの政府機関です。
以前はフィリピン海外雇用庁(通称:POEA)でしたが、組織再編により2022年秋よりフィリピン移住労働省(通称:DMW)と変更されました。
フィリピン人を採用するためには、DMWに対して雇用主として登録される必要があります。DMWへの登録には、MWO(旧・POLO)から送付される認証印が押印された書類と推薦書を送り出し機関を経由して、DMWへ提出することで、求人情報も登録されるようになります。
DMWに登録できたら、特定技能フィリピン人との雇用契約の締結ができるようになります。
MWO(旧・POLO)とは移住労働者事務所の通称
MWO(Migrant Workers Office)とは、フィリピン政府が日本で働くフィリピン人労働者とその家族の福祉を保護し、支援するための事務所です。DMW(旧・POEA)再編に伴い、国内にある海外労働者事務所(通称:POLO)も、移住労働者事務所(通称:MWO)と名称変更となりました。
受け入れ企業はフィリピン政府認定の送り出し機関と人材募集や雇用に係る取決めを締結した後、雇用主として適正かどうかを判断してもらう必要があります。MWO(旧・POLO)に雇用契約書のひな型などの必要書類を提出し、面接を受け、フィリピン人の雇用主として適正と判断されれば、MWOから認証印が押印された書類と推薦書が送られてきます。
フィリピン人の受け入れには二国間協定による特有の手続きが必要
「MWO」「DMW」の箇所でも簡単に説明しましたが、フィリピン人の受け入れは、二国間協定による特有の手続きが必要です。
受け入れ企業はDMWの出先機関であるMWOの審査をクリアした後、DMWへの登録が許され、初めて人材紹介を受けることができます。
審査にはさまざまな手続きやMWO職員との英語面接も必要となり、それぞれ細かいルールが定められています。二国間協定のない国の特定技能外国人とは、受け入れ方法が大きく異なるため注意が必要です。
また、フィリピン人材の送り出しができるのは、フィリピン認定の送り出し機関のみです。フィリピン認定の送り出し機関と契約した後、DMWとMWOの手続きが進みます。
特定技能フィリピン人の受け入れに係る費用
特定技能フィリピン人の受け入れに係る費用は次の通りです。目安としてご覧ください。
分類 | 項目 | 概ねの費用/頻度 |
---|---|---|
採用に関わる費用 | 人材紹介手数料 | 10〜30万円/回 |
送り出し機関への手数料 | 10〜60万円/回 | |
特定技能の申請・更新・支援に関わる費用 | 在留資格申請費用 | 10〜20万円/回 |
在留資格更新費用 | 3〜6万円/更新都度 | |
義務的支援委託費用 | 2〜4万円/毎月 | |
特定技能外国人に支払う費用 | 入国時の渡航費用 | 5〜10万円/回 |
住居の準備費用 | 居住条件による | |
給与・福利厚生 | 諸条件による |
特定技能の費用については下記の記事にて詳しく解説しております。あわせてご覧ください。
国外の特定技能フィリピン人を受け入れまでの流れ
特定技能でフィリピン人を受け入れるには、特定技能とフィリピン独自制度(DMW・MWO)両方の対応が必要です。
該当者の在住(海外)・在留(国内)状況によって若干の違いがありますが、概ね以下の流れで受け入れを進めます。
- 特定技能フィリピン人を受け入れまでの流れ
- 政府公認の送り出し機関と採用活動の取り決めを締結(人材紹介契約)
- 国内にあるフィリピン移住労働者事務所(MWO)への書類提出
- MWOにてフィリピン労働担当官と受け入れ企業との面接
- DMWへの登録完了と現地送り出し機関からの紹介開始
- 雇用契約の締結
- 事前ガイダンス、健康診断
- 支援計画の策定
- 在留資格認定証明書の交付申請(変更申請)
- 査証(ビザ)発給申請
- 出国前オリエンテーションと健康診断の受診
- フィリピン人材自身が海外雇用許可証(OEC)の発行申請(フィリピン発行の就労許可)
- 入国・就労開始
国内の特定技能フィリピン人を受け入れまでの流れ
すでに日本に在留しているフィリピン人を雇用する場合においても、一部の場合を除いて雇用主の企業がDMW(旧・POEA)に登録される必要があります。
例外として、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の在留資格を持つフィリピン人は、DMW(旧・POEA)に登録していなくても雇用できます。
留学生や特定活動などで在留しているフィリピン人が就労する場合や、技能実習生が特定技能に在留資格を変更する場合は、国外からの採用するときと同様の手続きが必要となります。
特定技能フィリピン人を受け入れするポイント
特定技能でフィリピン人を受け入れるには、まず初めに送り出し機関の選定と人材紹介の契約締結を行います。
しかし、フィリピン認定の送り出し機関は複数存在し、契約条件や得意分野はそれぞれ異なります。特に初めてフィリピン人の受け入れを行う場合、送り出し機関の選定や連携は容易ではありません。
また、特定技能特有の手続きも絡み、自社で全てを行うには相当の知識と労力が必要です。
特定技能やフィリピン人の受け入れノウハウが乏しく、実施する余力が無い場合には、国内の人材紹介会社の活用が効果的です。
フィリピン認定の送り出し機関の選定・契約から、受け入れまでをスムーズに行えるようサポートし、受け入れ企業側の負担は大幅に低減されます。特に初めて特定技能外国人の受け入れを行う企業は、特定技能やフィリピン人の受け入れに長けた、国内の人材紹介会社への依頼をおすすめします。
まとめ
特定技能フィリピン人の受け入れは、日本企業の人手不足を解消し、技能レベルの向上が期待できます。
外国人の受け入れは言語や文化の違いによるコミュニケーションの難しさがありますが、英語が使え適応力も高いフィリピン人は、問題の早期解消が可能です。
また、特定技能を取得するには「日本語能力試験」と「技能試験」に合格しなければなりませんが、技能実習2号修了者は免除されます。フィリピン人の技能実習生は多く存在しており、マッチングすれば企業の負担を減らしつつ、より早期に受け入れが進みます。
しかし、特定技能制度は候補者の選定や各種手続き、準備や支援といった複雑な要素を含んでおり、受け入れ企業にとっては大きな負担になる可能性があります。また、DMWやMWOといったフィリピン特有の制度にも注意が必要です。
自社での対応が難しい場合には、人材紹介会社への相談がおすすめです。受け入れまでのプロセスを効率化し、受け入れ業務の負担を軽減できるからです。
キャリアリンクファクトリーでは、特定技能のサービスを提供しております。人材不足で特定技能外国人の受け入れをご検討中の場合、まずはお気軽にご相談ください。