特定技能外国人から相談や苦情を受けた場合の対応と注意点を紹介
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特定技能で受け入れた外国人から、仕事や日常生活に関する相談や苦情を受けることがあります。そのため、「相談や苦情への対応方法や注意点が知りたい」「違法な扱いが発覚した場合の対処がわからない」と疑問を持っている企業も多いのではないでしょうか。
この記事では、特定技能外国人から相談や苦情を受けた際に、受け入れ企業や登録支援機関が取るべき対応と注意点を紹介いたします。
特定技能は相談や苦情への対応が必要
受け入れ企業や登録支援機関は、特定技能外国人の相談や苦情を受け入れ、適切な対応や助言を行わなければなりません。
特定技能外国人が日本で働き生活していく中で、様々な問題が生じます。しかし、日本語や生活環境に馴染みのない特定技能外国人が、自身で問題を解決するのは難しく、周囲のサポートが必要です。
また、入管法や労働基準法などの法令に違反している場合、適切な行政機関への相談が必要となり、特定技能外国人自身での解決はさらに難しくなります。
そのような課題を解決するため、特定技能制度では外国人からの相談や苦情への対応について、法務省により「支援」の規定が定められています。必ず実施が必要な「義務的支援」と、実施が望ましいとされる「任意的支援」に分けられています。
相談・苦情への対応に関する「義務的支援」と「任意的支援」について紹介いたします。
義務的支援
相談・苦情への対応に関する「義務的支援」の内容は、以下の3点です。
- 義務的支援の内容
- 職業生活、日常生活、社会生活に関して、相談または苦情の申し出を受けた時は、速やかに話し合いに応じます。内容に応じて、必要な助言、指導を行います。
- 行政機関につなぐ必要がある場合は、行政機関を案内し、特定技能外国人に同行して必要な手続きの補助を行います。
- 特定技能外国人が十分に理解できる言語で対応します。
任意的支援
相談・苦情への対応に関する「任意的支援」の内容は、以下の3点です。
- 任意的支援の内容
- 特定技能外国人が直接手続きを行いやすくするために、直接相談窓口の情報をまとめ、あらかじめ手渡しておきます。
- 相談窓口を設けたり、相談・苦情専用の電話番号やメールアドレスを設置します。
- 特定技能外国人が仕事・通勤中にけが、病気、もしくは死亡となってしまった場合を想定し、特定技能外国人の家族などに対して、労災保険制度の周知、必要な手続きの補助を行います。
相談・苦情への対応は相談記録書に記録する
相談・苦情を受けて対応した時は、出入国在留管理庁が用意している書類「相談記録書(参考様式第5-4号)」に記録します。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/content/001340585.pdf
相談記録書は四半期に一回、定期報告として取りまとめて出入国在留管理庁に提出します。スムーズに提出できるように、こまめに記録を取りまとめておきましょう。
相談記録書の記入方法
相談記録書には、以下の内容を記入します。
- 相談記録書の記入内容
- 相談受理日
- 相談者である特定技能外国人の情報(氏名、性別、国籍、生年月日、在留カード番号)
- 相談内容(相談内容の詳細を記載する)
- 対応結果(対応した内容を具体的に記載する)
- 対応者の氏名
相談記録書は小さな相談や苦情でも作成する
相談記録書には、内容の大小に関わらず、特定技能外国人から受けた相談や苦情を記入します。
例えば、「エアコンの調子が悪い」「住民票を取得したい」といった簡易的な内容で、すぐ対応して解決したような相談・苦情でも、相談記録書にしっかりと記入しましょう。
対応に時間がかかる相談・苦情も経過や結果を都度記録する
相談・苦情によっては、すぐに解決できない内容もあります。
その場合は、対応の経過を相談記録書に記録します。これにより、長期的な問題に対処している最中に対応者が変わった場合においても、スムーズに引き継ぎができます。
相談・苦情の内容が解決した後は、対応結果を改めて記録します。
相談・苦情の内容によっては関係する行政機関への通報や相談が必要
相談・苦情の内容によっては、関係行政機関に通報や相談を行います。その場合は、相談記録書の対応結果の欄に、通報・相談を行った日付と行政機関の名称を合わせて記載します。
行政機関への通報・相談とは
入管法や労働基準法などの法律に反する事態が発覚した場合には、行政機関(出入国在留管理庁や労働基準監督署の相談窓口など)に通報や相談を行います。
法律に反する事態を企業に指摘しても改善されない場合、特定技能外国人に相談先の行政機関を案内し、窓口への同行や内容の説明などを行います。
行政機関へ通報・相談を行った場合は他の書類にも記入する
行政機関へ通報・相談を行った場合は、「相談記録書」の他に、以下書類の作成・記入が必要です。出入国在留管理庁への定期報告で必要となりますので、相談記録書と合わせて保管しましょう。
- 届出書
- 第3-7号「支援実施状況に係る届出書」:支援実施状況に係る届出書
- 第4-3号「支援実施状況に係る届出書」の「5 支援対象1号特定技能外国人に関する出入国又は労働関係法令違反等」:支援実施状況に係る届出書
相談・苦情に対応する際の注意点
相談・苦情に対応する際には、いくつか注意点があります。具体的な注意点を紹介します。
相談・苦情の対応者や連絡先を明確にする
特定技能外国人が相談や苦情を伝えやすいように、対応者や連絡先を明確にします。これにより、特定技能外国人の安心に繋がり、対応者の責任感も高まります。
また、相談・苦情の対応者は中立な立場であり、公平に問題を解決しなければなりません。受け入れ企業内で対応者を選ぶ場合は、特定技能外国人の業務と関わりのない部署から選ぶと良いでしょう。
相談・苦情窓口の運用方法
相談・苦情窓口を設けていても、運用方法が決まっていなければ、特定技能外国人が相談・苦情を伝えにくくなります。相談・苦情窓口の運用方法について、以下の具体例が推奨されます。
- 相談・苦情窓口の運用方法
- 1週間当たりの勤務日に3日以上、休日に1日以上の対応可能日を設定する
- 就業時間外(夜間)などにも対応できるように、対応時間を考慮する
- 登録支援機関が窓口となる場合、特定技能外国人の勤務時間に合わせて対応日・対応時間を設定する
- 相談・苦情専用の電話番号・メールアドレスを設置する
- 急病や事故などの緊急時に対応できるように、緊急連絡先を確認・記録する
相談・苦情を理由に不当な扱いを受けないように注意する
特定技能外国人が相談・苦情を申し立てたことを理由に、受け入れ企業で不当な扱いを受けないように注意が必要です。不当な扱いを受けたことがさらに大きな問題に発展したり、受け入れ企業の評判が損なわれたりする恐れがあります。労働者の権利を守るためにも、公正な対応を徹底しましょう。
相談・苦情を正しく把握できるようにする
特定技能外国人の相談・苦情を正しく把握し、適切な対応を行うために、可能な限り通訳を立ち会わせましょう。誤った情報で対応を進めると、さらなるトラブルにつながる可能性があるため、注意が必要です。
受け入れ企業内で通訳を立ち会わせる場合、同僚の外国人が通訳をしても問題ありません。ただし、通訳を担当した者は、相談者のプライバシー保護に留意しましょう。
また、相談や苦情は突発的に生じます。通訳が不在の場合は、翻訳機を活用し、相談・苦情の内容を正確に把握する工夫が必要です。それでも把握や意図を伝えるのが難しい場合には、後日改めて場を設け、通訳を立ち会わせて対応します。
受け入れ企業や登録支援機関で通訳を手配するのが困難な場合は、外部の通訳サービスを利用します。
万一、離職が決まったあとも雇用期間中はしっかりと対応する
万一、特定技能外国人の離職が決まったあとも、雇用期間中の相談・苦情にはしっかりと対応しましょう。最後まで責任を持った対応により、受け入れ企業の評判を保ち、今後新たな特定技能外国人を雇用する際にも良い影響を与えることができるでしょう。
相談・苦情を受けた後はフォローアップを徹底する
相談・苦情を受けた後は、フォローアップの徹底が必要です。相談・苦情に対して、すぐに対応できない場合は、対応可能な時期を伝えたり、進捗状況を報告したりしましょう。
対応できない場合でも、その理由をしっかりと説明します。相談や苦情に真摯な姿勢で向き合い、誠意を持った対応を行うことで、特定技能外国人は安心感を感じ、対応ができなかった場合でもトラブルの回避が期待できます。
まとめ
特定技能外国人を受け入れる企業は、相談・苦情を受け入れ、適切な対応を行う支援の義務が生じます。特定技能外国人からの相談・苦情の窓口を設定し、相談記録書の作成を行い、場合によっては行政機関への通報や相談が必要です。
相談・苦情に適切な対応を行えば、長期雇用やトラブル回避に繋がります。しかし、実際に対応する際の注意点も多く、対応者には知識と労力が必要です。
自社での対応が難しい場合には、国内の人材紹介会社への相談がおすすめです。特定技能外国人の相談・苦情の対応について、豊富な実例をもとに適切にサポートします。
特定技能外国人の受け入れや手続きのノウハウを持っていますので、受け入れまでのプロセスを効率化し、受け入れ業務やその後の手続きに関わる企業の負担を軽減できます。
特定技能外国人の受け入れをご検討中でしたら、製造業特化の人材派遣会社「キャリアリンクファクトリー」へぜひお問い合わせください。