特定技能「縫製」とは?企業に求められる要件まで詳しく紹介

外国人雇用
公開日:24.11.06/更新日:24.11.27
特定技能「縫製」とは?企業に求められる要件まで詳しく紹介

「縫製業」は、2024年9月末から在留資格「特定技能」で外国人を受け入れ、雇用できるようになりました。

これにより、縫製業界の課題であった労働力不足が解消され、国内生産の維持や業界の活性化が期待されています。

しかし、特定技能「縫製」に関して「受け入れ要件がわからない」「従事可能な業種が知りたい」といった企業も多いのではないでしょうか。

この記事では、特定技能「縫製」で従事できる業務や、企業に求められる要件について詳しく紹介いたします。

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特定技能「縫製」とは

特定技能「縫製」とは

特定技能「縫製」は、新たな業務区分として追加された在留資格です。「工業製品製造業分野」の「縫製区分」に分類されます。

「縫製」業務とは、衣料品の製造に関する作業を指します。具体的には、ミシンを使った布地の縫い合わせ、型紙に基づく裁断、仮縫いや仕上げ作業(アイロンがけや検品)、ボタン付けやファスナー取り付けなどが含まれます。

縫製業の現状

日本国内の縫製業は、人手不足の状況が続いています。

厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、縫製業を含む「紡織製品・衣服・繊維製品製造工」の令和5年度有効求人倍率は2.66倍となります。全職種の有効求人倍率である1.31倍と比べると、非常に高い数字であることがわかります。

参考:一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について | 厚生労働省

新しく追加が決まり受け入れ開始の準備が進む

そのような人手不足の状況を解消するため、2024年3月29日に特定技能の対象区分として「縫製」が追加される方針が決まりました。

法令整備や技能試験要項の準備が進められ、2024年9月30日から、特定技能「縫製」の受け入れが開始されています。

特定技能で働き手として雇用できるようになった

縫製業は、以前から技能実習制度で外国人の受け入れを行っていました。

令和5年末時点では、22,487人が縫製の技能実習生として日本に在留しています。

しかし、技能実習制度は外国人が日本で技能や技術を身につけ、母国に持ち帰ることを目的とした制度であり、「働き手」ではなく「実習生」としての受け入れとなります。

一方、特定技能制度では、外国人を即戦力となるスキルを持った働き手として雇用できます。

縫製の技能実習制度は不正行為が問題視されていた

縫製の技能実習制度では、技能実習生が原則として転職できないことを利用した人権侵害や、低賃金での受け入れ、賃金の未払いなどの不正行為が問題視されていました。

特定技能「縫製」では、このような問題が改善されるよう、独自の追加要件を設けています。

特定技能「縫製」独自の追加要件

特定技能「縫製」独自の追加要件

特定技能「縫製」は、以下4つの追加要件が設けられています。

  • 追加要件
  • 国際的な人権基準の遵守
  • 勤怠管理の電子化
  • パートナーシップ構築宣言の実施
  • 給与の月給制

国際的な人権基準の遵守

労働者の人権を保護するために、国際的な人権基準である「労働における基本的原則及び権労働者の人権を保護するために、国際的な人権基準である「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」をベースに、日本繊維産業連盟が作成した「繊維産業の責任ある企業行動ガイドライン」に沿った対応が求められます。

特定技能「縫製」で外国人を受け入れる企業は、事業所ごとに第三者の機関や団体から客観的な認証を受け、ガイドラインに沿った活動の確認を行っていきます。

参考:繊維産業の責任ある企業行動ガイドライン|日本繊維産業連盟

勤怠管理の電子化

特定技能「縫製」では、労働時間を適切に管理するため、勤怠管理の電子化が求められます。

たとえば、出退勤時には紙のタイムカードではなく、従業員各自が持つICカードを読み込んだり、事務所に設置したタブレットに入力する方法が採用されます。

勤怠管理システムは、経済産業省のリストに掲載されているシステムの導入が必要です。

自社開発システムを導入する場合は、「電子的に出退勤を記録できる」や「出退勤データを手作業を介さずにPCやクラウド等に送信できる」といった要件を満たしたシステムが必要です。

参考:対象システム一覧|経済産業省

パートナーシップ構築宣言の実施

特定技能「縫製」で外国人を受け入れる企業には、「パートナーシップ構築宣言」が求められます。

パートナーシップ構築宣言とは、企業の代表者が取引先との新たな協力関係を築くことを宣言する制度です。この宣言は、サプライチェーン全体の共存共栄を目指し、発注者と下請事業者の間で望ましい取引慣行の遵守を促進します。

業種や規模に関係なく適用され、宣言内容は公表されるため、企業の取り組みを広く知ってもらうことができます。

受け入れ企業は、発注者の立場で「パートナーシップ構築宣言」のひな形に沿って宣言文を作成し、オンラインで申請します。申請後、約4日でポータルサイトの登録企業リストに掲載されます。

参考:パートナーシップ構築宣言ポータルサイト

給与の月給制

特定技能「縫製」は、外国人が日本で安定した生活を送るため、給与の月給制が求められます。時給や日給月給、年俸での雇用は認められません。月給の要件は以下となります。

  • 月給の要件
  • 月給制(「1ヶ月単位で算定される額(基本給、毎月固定的に支払われる手当及び残業代の合計)」で報酬が支給される方式)とする
  • 同等の業務に従事する日本人労働者の報酬の額と同等以上の報酬を安定的に支払う
  • 技能の習熟度に応じて昇給を行う

受け入れ企業は、「繊維工業における特定技能外国人の受け入れに係る誓約書」を作成し、地方出入国在留管理局に提出します。

参考:繊維工業における特定技能外国人の受け入れに係る誓約書|経済産業省

特定技能「縫製」で就業可能な業種

特定技能「縫製」で就業可能な業種

特定技能「縫製」で就業可能な業種や、具体的な業務内容を紹介します。

就業可能な業種

特定技能「縫製」では、主に以下の業種に従事できます。

  • 就業可能な業種
  • 衣類製造:婦人子供服、紳士服、下着類などの製造。
  • 寝具製作:掛け布団、敷布団、枕カバーなどの寝具類の製造。
  • 帆布製品製造:テント、シート、バッグなどの帆布製品の製造。
  • 布はく縫製:ワイシャツ、衛生白衣、作業着、制服などの製造。
  • 座席シート縫製:自動車用シートカバー、アームレストカバー、ヘッドレストカバーなどの製造。
  • インテリア製品製造:カーテン、クッションカバー、テーブルクロスなどの製造。
  • 産業用繊維製品製造:工業用フィルター、防護服、安全ベルトなどの製造。
  • ニット製品製造:セーター、カーディガンなどのニット衣料品の製造。

具体的な業務内容

特定技能「縫製」では、主に以下の業務内容に従事します。

  • 具体的な業務内容
  • 布の裁断:デザインやパターンに合わせて布を裁断する。
  • 布の縫い合わせ:裁断した布をミシンで縫い合わせ、立体的な衣服や製品を作成する。
  • ボタンやファスナーの取り付け:衣服や製品に必要な付属品を取り付ける。
  • 刺繍や装飾:刺繍や飾り縫い、リボンやスパンコールの取り付けなどの装飾作業を行う。
  • 仕上げ作業:完成した製品にアイロンをかけ、シワを伸ばす。
  • 検品:製品の品質チェックを行い、不良品がないか確認する。

関連業務への従事

特定技能「縫製」で従事できる主な業務に関連する内容であれば、関連業務への従事も可能です。しかし、関連業務のみ従事させることはできません。関連業務の例を紹介します。

  • 関連業務の例
  • 原材料・部品の調達・搬送作業
  • 各職種の前後工程作業
  • クレーン・フォークリフト等運転作業
  • 清掃・保守管理作業

特定技能「縫製」は技能実習から移行できる

対象となる技能実習2号または3号を良好に修了した外国人は、特定技能1号に在留資格を移行できます。

特定技能に移行した後は、修了した技能実習の職種に限定されず、特定技能「縫製」で従事できると認められている他の職種にも就労可能です。

また、特定技能1号に移行すると、最長5年間日本で就労できます。技能実習の在留期間(最長5年間)と合わせると、最大で10年間日本に在留できます。

対象となる技能実習の業種は以下の7業種です。

  • 対象となる技能実習の業種
  • 婦人子供服製造
  • 紳士服製造
  • 下着類製造 
  • 寝具製作
  • 帆布製品製造
  • 布はく縫製
  • 座席シート縫製

特定技能「縫製」で外国人を受け入れる企業の注意点

特定技能「縫製」で外国人を受け入れる企業の注意点

特定技能「縫製」で外国人を受け入れる企業の注意点を紹介します。

企業の業種を確認する

受け入れ企業の業種が、特定技能「縫製」の対象であるかを確認しましょう。

対象業種のリストは、特定技能外国人材ポータルサイトから確認できます。

参考:対象となる産業分類一覧

「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」への加入が必要

特定技能「縫製」で外国人を受け入れる企業は、「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」への加入が必要です。

「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」は、特定技能制度を適切に運用するために設置された、経済産業省が運営する組織です。

加入申請は、企業の事業所ごとにポータルサイトから行います。

2024年9月時点での加入費用は無料です。

参考:製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会(協議会) (METI/経済産業省)

まとめ

特定技能「縫製」は、縫製業の人手不足を解消するために導入された在留資格です。

縫製業界の課題であった労働力不足が解消し、国内生産の維持や業界の活性化につながると期待されています。

しかし、特定技能制度は複雑で、さまざまな手続きが求められます。さらに、特定技能「縫製」には4つの追加要件への対応も必要です。

自社での対応が難しい場合には、国内の人材紹介会社への相談がおすすめです。受け入れまでのプロセスを効率化し、企業の受け入れ業務の負担を軽減できます。

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