特定技能の定期報告とは?必要書類・提出先・提出方法
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特定技能制度では、外国人労働者を受け入れた後も「定期報告」を行う義務があります。定期報告はさまざまな書類作成が必要であり、決められた期限内に提出が求められます。
定期報告を怠ったり、報告内容に虚偽があった場合には、罰則や過料の対象となります。悪質な場合には、将来的に特定技能労働者の受け入れができなくなるため、注意が必要です。
しかし、特定技能制度の定期報告について、「どのような書類を作成する必要があるか」「提出期限はいつまでか」「どこに提出すればいいのか」といった疑問や不安を抱えている企業も多いのではないでしょうか。
この記事では、定期報告で必要な書類や提出先、提出期限や提出方法について、詳しく説明します。
目次
特定技能の定期報告とは?
特定技能の定期報告では、「特定技能外国人の受け入れ状況」や「報酬の支払状況」などを出入国在留管理庁に報告します。この報告を基に、出入国在留管理庁は受け入れ企業の労働環境が適切か判断します。
四半期ごとに1回、定期的に報告する義務がありますので、「定期報告」と呼ばれています。
定期報告を行う際に必要な書類
定期報告には複数の書類が必要です。必要な書類は、「登録支援機関の支援を受けている場合」と「受け入れ企業自身が支援計画に沿った全ての支援を行っている場合」で異なります。
それぞれのケースに応じて必要な書類を紹介します。
※必要書類は出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」でダウンロードできますので、必要に応じてご確認ください。
参考:特定技能関係の申請・届出様式一覧 | 出入国在留管理庁
登録支援機関の支援を受けている場合の必要書類
受け入れ企業が登録支援機関の支援を受けている場合、「受け入れ企業が用意する必要書類」と「登録支援機関が用意する必要書類」の2種類があります。
受け入れ企業が用意する必要書類
登録支援機関の支援を受けている場合においても、受け入れ企業は以下4つの書類を用意する必要があります。
- 受け入れ企業が用意する必要書類
- 受け入れ・活動状況に係る届出書
- 特定技能外国人の受け入れ状況・報酬の支払状況
- 報酬支払証明書
- 賃金台帳の写し
受け入れ・活動状況に係る届出書
「受け入れ・活動状況に係る届出書」(参考様式第3-6号)には、受け入れ企業の雇用状況、社会保険に関すること、特定技能外国人の支援計画の実施・受け入れ準備にかかった費用などを記入します。
複数の事業所を持つ企業は、事業所単位ではなく法人全体で取りまとめた書類を作成します。
特定技能外国人の受け入れ状況・報酬の支払状況
「特定技能外国人の受け入れ状況・報酬の支払状況」(参考様式第3-6号別紙)には、特定技能外国人の氏名や在留カード番号、活動日(就労日数)、支給した賃金額などを記入します。
賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの+比較対象の日本人のもの)
賃金台帳の写しは、特定技能外国人と日本人従業員の賃金情報を合わせて提出し、特定技能外国人が公平に扱われているか客観的にわかるように提示します。
賃金台帳の写しは、出入国在留管理庁によって定められた様式はありません。企業で作成している台帳の写しを提出します。
提出対象は、特定技能外国人全員と、比較対象となる日本人従業員です。比較対象となる日本人従業員とは、特定技能外国人と同一の仕事をしている日本人従業員を指します。対象者が転勤・退職している場合には、特定技能外国人と同じ業務を行っている別の日本人従業員の賃金台帳を提出します。
報酬支払証明書(給与が現金払いの場合に必要)
「報酬支払証明書」(参考様式第5-7号)は、特定技能外国人が銀行口座を用意できない場合の対処として、現金を直接手渡しで支払った場合に作成します。
手渡しで支給した特定技能外国人全員分を作成し、対象労働者の名前、支払われた報酬額、企業名を記入し、特定技能外国人本人が署名します。
登録支援機関が用意する必要書類
登録支援機関に支援計画の実施を委託している場合、登録支援機関にも定期報告で提出する書類の作成義務が生じます。
全ての支援を登録支援機関に委託している場合、登録支援機関が必要書類を取りまとめて提出します。一部を委託している場合は、受け入れ企業が取りまとめて提出します。
登録支援機関が必ず提出する書類
登録支援機関は以下の書類を提出します。
- 登録支援機関が必ず提出する書類
- 支援実施状況に係る届出書(参考様式第4-3号)
- 1号特定技能外国人支援対象者名簿(参考様式第4-3号 別紙)
特定技能外国人に対し、支援計画に沿って実施した具体的な支援内容を報告します。受け入れ企業が支援計画の一部を実施している場合は、受け入れ企業も「支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-7号)」を作成します。
登録支援機関が状況に応じて提出する書類
- 登録支援機関が状況に応じて提出する書類
- 相談記録書 (参考様式第5-4号)
- 定期面談報告書(特定技能外国人用)(参考様式第5-5号)
- 定期面談報告書(監督者用)(参考様式第5-6号)
- 転職支援実施報告書 (参考様式第5-12号)
- 支援未実施に係る理由書 (参考様式第5-13号)
届出対象期間中に、登録支援機関が特定技能外国人から受けた相談内容や定期面談の内容を記載し提出します。
自社で支援計画を実施している場合の必要書類
受け入れ企業が、自社で支援計画を実施している場合には、「支援や面談に関する書類」の作成を自社で行います。一部の支援計画のみ自社で実施している場合においても、自社での作成が必要です。
支援実施状況に係る届出書
「支援実施状況に係る届出書」(参考様式第3-7号)は、支援計画書に基づいた支援を実施したかどうかを記入します。何らかの理由で支援を実施できなかった場合は「支援未実施に係る理由書」(参考様式第5-13号)を作成し、提出します。
1号特定技能外国人支援対象者名簿
「1号特定技能外国人支援対象者名簿」(参考様式第3-7号 別紙)には、企業が受け入れている全ての1号特定技能外国人の氏名や在留カード番号などを記入し、それぞれの支援実施状況と、定期面談で聞き取りをした問題発生の有無の結果(労働や生活上の困りごとや問題が起きていないか)を記入します。
定期面談報告書
定期面談は義務的支援の一つであり、業務内容、待遇、生活面などで問題がないか確認します。「定期面談報告書」(参考様式第5-5号)は、届出対象期間中に面談を実施した際に作成します。
定期面談に関する問題の有無に関する情報を記入し、問題がある場合は詳細を記入します。法令違反が確認された場合、特定技能外国人を保護するための臨時処置が必要です。また、特定技能外国人、受け入れ企業、関係行政機関への対応も記載します。
問題の有無にかかわらず、報告書の作成は義務となっていますが、出入国在留管理庁への提出は「面談で問題が認められた場合のみ」で良いとされています。2024年4月1日から、事務負担軽減のためにこの取り扱いが変更されました。
面談で問題が認められなかった場合の定期面談報告書は、受け入れ企業が保管し、出入国在留管理庁からの提出要請があった際には迅速に提出できるようにします。
定期報告の提出期間と提出期限
定期報告は、四半期ごとに提出します。四半期別の届出対象期間と提出期間は以下の通りです。提出期間が15日間と短いので、遅れないよう注意が必要です。
四半期の名称 | 届出対象期間 | 提出期間 |
---|---|---|
第1四半期 | 1月1日〜3月31日 | 4月1日〜4月15日 |
第2四半期 | 4月1日〜6月30日 | 7月1日〜7月15日 |
第3四半期 | 7月1日〜9月30日 | 10月1日〜10月15日 |
第4四半期 | 10月1日〜12月31日 | 翌年1月1日〜1月15日 |
提出期限が過ぎてしまった場合の対処方法
提出期限が過ぎてしまった場合、まずは管轄の出入国在留管理局に相談します。
その際、提出期限を過ぎてしまった理由を記載した「理由書」を定期報告書類に添えて提出する必要があります。なお、理由書には特定のフォーマットはありません。
提出が遅れや未提出は、罰則の対象となります。期限内に速やかに提出できるように、届出対象期間中から準備を進めましょう。
定期報告の提出先
定期報告の提出先は、管轄の地方出入国在留管理局です。受け入れ企業が複数の事業所を持つ場合、本社が所在する地域を管轄する地方出入国在留管理局に提出します。
提出方法は、窓口に持参、郵送、オンラインから選択可能です。窓口に持参する場合、「提出者の身分証明書」と「受け入れ企業との関係を示す資料」を合わせて持参し提出します。
郵送する場合は、「提出人の身分証明書の写し」と「受け入れ企業との関係がわかる資料の写し」を同封します。封筒の表面には、朱書きで「特定技能届出書在中」と明記して郵送します。配達にかかる日数を考慮し、余裕を持って郵送するようにしましょう。
オンラインで定期報告を提出する方法
出入国在留管理庁電子届出システムを活用し、オンラインで定期報告を提出できます。オンライン提出は、時間や場所を選ばずに提出できるのがメリットです。また、過去に入力したデータを保存できるため、必要事項の入力作業が軽減され、書類作成がスムーズに進みます。
オンライン提出を利用するには、利用者情報の登録が必要です。「利用者情報登録届出書」を作成し、窓口または郵送で管轄の地方出入国在留管理局に提出します。申請が完了すると、IDとパスワードが発行され、オンライン提出が可能となります。
出入国在留管理庁電子届出システムに関する詳細は、こちらをご確認ください。
まとめ
特定技能の定期報告は、受入れ企業の提出が義務づけられています。提出期限までに定期報告に必要な書類をとりまとめ、提出を完了させるには多くの手間と時間が必要です。
自社での対応が難しい場合には、受け入れの際に依頼した人材紹介会社への相談をおすすめします。人材紹介会社は特定技能外国人の受け入れや手続きのノウハウを持っておりますので、受け入れまでのプロセスを効率化し、受け入れ業務やその後の手続きに関わる企業の負担を軽減できます。
また、特定技能外国人の受け入れをご検討中でしたら、製造業特化のキャリアリンクファクトリーに一度ご相談いただけますと幸いです。
キャリアリンクファクトリーでは、お客様から人材需要を確認し、貴社の要望に沿った人材を国内・海外合わせてネットワークを駆使して募集します。当社にて1次選考したスタッフを貴社にご案内します。ミスマッチ防止のため「オンライン面談」もしくは「現地で事前面談」を実施していただき、双方の了承を得て申請手続きを開始します。