特定技能1号と2号の違いとは?取得や採用方法までわかりやすく紹介

外国人雇用
公開日:24.02.18/更新日:24.09.25
特定技能1号と2号の違いとは?取得や採用方法までわかりやすく紹介

日本では少子高齢化が進み、人手不足となっている分野や企業も多く存在します。その課題を解消するため、即戦力となるスキルを持った外国人を働き手として受け入れる、在留資格「特定技能」制度が創設されました。

特定技能は「1号」と「2号」の2つの在留資格があります。2023年秋には制度が改正され、「特定技能2号」の対象となる業界が拡大したりと、より人手不足解消の手助けとなる制度となっています。

この記事では「特定技能1号」「特定技能2号」の違いや、在留資格の取得方法と採用方法までわかりやすく紹介いたします。

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在留資格「特定技能」とは?

在留資格「特定技能」とは?

「特定技能」とは、人材確保が難しい業種において、一定の専門性・技能を持っている外国人を受け入れることができる在留資格です。

特定技能の在留資格は、「特定技能評価試験と日本語試験に合格する」もしくは「飲食料品製造業の技能実習2号を修了する」のいずれかの条件を満たしていなければなりません。

制度の特性上、即戦力となる知識やスキルを持っている外国人を雇用することができるので、人手不足の解消や優秀な人材確保が期待できます。

「技能実習」という在留資格もありますが、これは外国人が日本の技術を学び、母国に持ち帰るという国際貢献を目的としています。実習が本来の目的である技能実習制度では、企業が労働力の確保を目的としてはいけません。

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特定技能は1号と2号の2種類に分かれる

特定技能は1号と2号の2種類に分かれる

特定技能には「1号」と「2号」の2種類の在留資格があります。それぞれの特徴を紹介いたします。

特定技能1号の特徴

特定技能1号は「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」です。即戦力となる知識やスキルを持っている状態で雇用できます。

令和5年6月末の調査によりますと、日本全国で173,089人の特定技能1号の外国人が活躍しています。

特定技能2号の特徴

特定技能2号は「特定産業分野に属する熟練した技能を持つ外国人向けの在留資格」です。特定技能1号と比べると、よりハイレベルな技能や、他の労働者の管理・指導のスキルが求められます。

特定技能1号と2号の違い

特定技能1号と2号の違い

特定技能1号と2号は、在留可能な期間や、特定技能の外国人が持っているスキル、外国に住む家族帯同の可否など、様々な違いがあります。それぞれの違いについて紹介いたします。

在留可能期間

特定技能1号では、通算5年まで在留可能です。途中、一時帰国をしたり、日本国内で転職したりした場合においても、在留可能期間は合算されます。

特定技能2号では、在留可能期間に制限はありません。長く日本で働き続けることができるため、企業・外国人ともにメリットが大きい制度と言えるでしょう。

分野(業種)

特定技能での外国人の受け入れは定められた分野に限られています。

特定技能1号で外国人の受け入れが認められた分野は、全部で12分野です。建設分野、造船・舶用工業、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、介護が該当します。

特定技能2号で外国人の受け入れが認められた分野は、特定技能1号から「介護」を除いた11分野です。介護分野が除かれている理由は、もともと在留期間に制限がない「専門的・技術的分野の在留資格」に、介護分野が設けられているためです。

特定技能2号の分野は、2022年以前は「建設」と「造船・舶用工業」の2分野のみでしたが、2023年秋に制度が改正され、11分野に拡大されました。これにより、特定技能2号へのニーズは今後より拡大すると考えられます。

必要な技能や知識

特定技能1号と2号では、それぞれに求められる技能や知識が異なります。

特定技能1号では、受け入れ分野で即戦力として働くために必要な知識や経験が必要です。「分野ごとに定められた特定技能1号評価試験に合格」もしくは「技能実習2号を良好に修了」のいずれかの要件を満たす必要があります。

他の労働者の管理・指導のスキルが必要とされる特定技能2号では、特定技能1号よりも高いレベルの技能水準が必要です。「分野ごとに定められた特定技能2号評価試験に合格」と「監督者として一定の実務経験を積むこと」の両方の要件を満たす必要があります。

日本語能力

特定技能1号は、日本語の能力を証明するため、日本語試験に合格し、合格証明書を提示します。「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)のN4以上」のどちらかに合格する必要があります。介護分野の場合は、これに加えて「介護日本語評価試験」への合格が必要です。

特定技能2号には、日本語試験の取得要件はありません。

支援体制

特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、出入国のための送迎、住居の確保など、様々な支援体制の義務が発生します。支援体制を整えるには、「自社で支援計画を立てて実施する」または「登録支援機関に委託する」の2通りがあり、自社で選択可能です。

しかし、過去2年に外国人従業員が在籍していない場合や、受け入れ企業の独自支援が困難な場合は、登録支援機関に委託して支援体制を整える必要があります。

特定技能2号の外国人には、支援体制の義務はありません。

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外国人の家族帯同可否

特定技能1号の外国人の家族帯同は、原則認められておりません。「特定技能ビザ取得前に、もともと留学ビザで在留していた外国人が、日本国内で婚姻していた」、「特定技能の在留資格を持って日本で働く夫婦の間に、子どもが生まれた」といった場合に、例外として認められる場合があります。

一方、特定技能2号の外国人は家族の帯同が認められています。特定技能2号には在留年数に上限がなく、要件を満たせば将来的に日本に永住することも可能です。

帯同が認められている範囲は、特定技能の在留資格を持つ外国人の「配偶者」と「子」までで、「親」や「兄弟」などは対象外です。「配偶者」は日本の法律上の婚姻関係にあることが条件です。

また、家族を扶養するための帯同なので、原則「特定技能2号の外国人」と「家族」が同居することが前提です。

特定技能1号の取得方法

特定技能1号の取得方法

特定技能1号の在留資格を取得するには「特定技能評価試験」と「日本語試験」に合格する方法と、「該当分野の技能実習2号修了者の在留資格を移行する」方法があります。

「特定技能評価試験」に合格する

「特定技能評価試験」は、12職種の分野ごとに設定されております。就労する分野に該当した特定技能評価試験を受けなければなりません。

分野に該当する特定技能評価試験は、「出入国在留管理庁」のホームページで確認できます。

参考:試験関係 | 出入国在留管理庁

該当分野の技能実習2号修了者の在留資格を移行する

該当分野の技能実習2号を良好に修了した者(技能実習を計画に従って2年10月以上修了している)は、「特定技能評価試験」と「日本語試験」が免除された状態で、特定技能1号に在留資格の移行が可能です。申請の手間が少なく、受け入れまでの時間やコストも低く抑えられます。

注意点として、技能実習の職種や作業内容と、特定技能1号で就業する業務に関連性が認められない場合には、「特定技能評価試験」が免除されません。特定技能1号で就業する業務に関連性が無い場合においても、日本語試験は免除されます。

特定技能2号の取得方法

特定技能2号の取得方法

特定技能2号の在留資格を取得するには、「各分野で定められている条件」を満たしており、かつ、「特定技能2号試験」の合格が必要です。

「各分野で定められている条件」は、分野によって異なります。例えば「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」では「日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場における3年以上の実務経験を持つ」という条件が定められています。

「特定技能2号試験」は分野ごとに設定されておりますが、試験要領が発表されていない分野も存在します。

特定技能2号試験の最新情報は、「出入国在留管理庁」のホームページで確認できます。

参考:試験関係 | 出入国在留管理庁

特定技能外国人の採用方法

特定技能外国人の採用方法

特定技能外国人を採用する方法として「現地から採用する場合」と、「日本に在留している外国人を受け入れる場合」の2パターンがあります。

受け入れたい外国人の居住国によっては、下記の手続きに加えて、大使館や外国の機関に追加で申請を出す場合もあります。詳しくは、出入国在留管理庁がまとめている、各国別の最新情報を確認してください。

参考:特定技能に関する各国別情報 | 出入国在留管理庁

現地から採用する場合

  • 現地から採用する場合
  • 求人を出す(外国の機関や、日本国内にある人材紹介会社など)
  • 求人に応募のあった外国人が、特定技能外国人在条件を満たしているか確認
  • 面接などを経て採用となったら、雇用契約を締結する
  • 受け入れ企業が日本の管轄の出入国管理局に、在留資格認定証明書の交付申請を提出
  • 在留資格認定証明書の原本が発行されたら、手続きをする
  • 査証を申請する
  • 事前ガイダンスなどを行い、日本に入国
  • 支援機関、または受け入れ企業のガイダンス後、就労開始

日本に在留している外国人を受け入れる場合

在留資格を新しく申請するのではなく、今持っている在留資格から変更の手続きをします。

  • 日本に在留している外国人を受け入れる場合
  • 日本国内で求人活動
  • 求人応募のあった該当の外国人が特定技能外国人の条件を満たしているか確認
  • 雇用契約締結
  • 事前ガイダンス、健康診断、支援計画の策定
  • 在留資格変更許可申請(資格変更申請)
  • 受け入れ企業が、日本の管轄の出入国管理局に在留資格認定変更許可申請を提出
  • 就労開始

まとめ

特定技能は、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、即戦力となる外国人材を確保し、人手不足の解消が期待できる制度です。2023年秋から特定技能2号の対象分野が拡大し、より注目が高まっております。

しかし、特定技能制度は複雑で、分野毎に様々な手続きが求められます。自社での対応が難しい場合には、国内の人材紹介会社への相談がおすすめです。受け入れまでのプロセスを効率化し、受け入れ業務の負担を軽減できるからです。

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