特定技能は転職支援が必要?支援が必要となるケースと支援方法を紹介
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「転職支援」は特定技能外国人への支援の1つです。
「転職支援はどのような場合に実施すれば良いかわからない」「実施方法や注意点、提出書類が分からない」といった疑問を抱えている企業も多いのではないでしょうか。
この記事では、特定技能外国人への転職支援について、支援の内容や手続きの方法、提出が必要な書類と注意点について詳しく紹介いたします。
目次
会社都合で特定技能外国人との契約を解除する場合、転職支援が必要
会社都合で特定技能外国人との契約を解除する場合、特定技能外国人が日本で仕事を続けられるように、転職支援をしなければなりません。
会社都合とは、会社の都合での一方的な契約解除を指します。受け入れ企業から特定技能外国人に対して解雇の申し出をしたり、事務所を廃止したり、受け入れ企業が倒産したりした場合が該当します。
一方、特定技能外国人の自己都合による契約解除の場合は、転職支援の義務はありません。自己都合とは、特定技能外国人が自らの意思で退職を決めた場合を指します。
転職の義務的支援
転職の義務的支援では、以下の①〜⑦の支援を行います。
それに加えて、有給休暇の付与やシフトの調整など、転職活動のサポートに繋がる支援も必要です。それぞれの支援の内容について紹介します。
①次の就業先に関する情報を入手し提供する
次の就業先に関する情報を入手し、特定技能外国人に提供する必要があります。求人情報の提供に加えて、特定技能外国人のスキルや経験を踏まえた職場の選び方についてもアドバイスを行います。
就業先に関する情報は、受け入れ企業が所属している業界団体や関連企業などから入手します。また、特定技能外国人の受け入れを募集している企業や求人情報を取りまとめているサービスがあれば、それらの情報も提供します。
特定技能外国人が現在就業している分野や同じ業界・企業から求人を探すと、転職活動がしやすくなります。他の分野では在留資格に関する試験を受ける必要があったり、これまでの実績を活かせないことがあるためです。
②職業紹介事業者の紹介とサポート
職業紹介事業者を紹介し、スムーズに転職活動を進められるようにサポートします。職業紹介事業者とは、求職者と求人を出したい企業の間で仲介を行う機関です。公共職業安定所(ハローワーク)や、民間の人材紹介会社、転職エージェントなどが該当します。
全国から様々な求人情報が集まりやすく、企業の選択肢を増やせるのがメリットです。転職活動のための書類作成や面接対策などのサポートを行ってくれるところもあります。
受け入れ企業や登録支援機関は、必要に応じて職業紹介事業者に同行し、特定技能外国人の紹介や、利用者登録のサポートなどを行います。
登録支援機関については下記の記事にて詳しく解説しております。あわせてぜひご覧ください。
③就職先を紹介する
受け入れ企業が直接他の就職先を紹介できる場合は、転職支援として就職先の斡旋も行えます。
しかし、就職先を斡旋できるのは、受け入れ企業や登録支援機関が厚生労働省から許可を得ている場合のみです。報酬の有無にかかわらず、厚生労働省から許可を得たり、届出を出さなければなりませんので、注意が必要です。
④推薦状を作成する
特定技能外国人がスムーズに転職できるように、受け入れ企業は推薦状を作成します。
推薦状は特定技能外国人に対する受け入れ企業の評価を伝え、転職支援につながります。
推薦状に関しては、出入国在留管理庁が定めたフォーマットは存在しません。そのため、特定技能外国人の技能水準や日本語能力、働きぶりや人柄などをわかりやすくまとめて記入し、転職先となる新たな受け入れ企業に魅力が伝わるようにしましょう。
推薦状の作成は、他の転職支援と合わせて行うことで、より効果を発揮します。また、職業紹介事業者を活用する場合は、担当者と相談しながら推薦状を作成すると良いでしょう。
⑤有給休暇の付与やシフトの調整を行う
転職活動には書類の準備や面接など、多くの作業が生じます。現在の仕事に従事しながら、就業時間外に転職活動のすべてを行うことは難しい場合があります。そのため、受け入れ企業は有給休暇を付与し、転職活動に集中できるようサポートします。
シフト勤務の場合は、シフトの調整を行い、求職活動に支障が出ないようにフォローが必要です。
⑥行政手続きの情報提供
離職時に必要な行政手続き(国民健康保険や国民年金、在留資格の継続に関する手続きなど)について、特定技能外国人に情報を提供します。
行政手続きは外国人のみで実施が困難な場合があるため、必要に応じて手続きのフォローも行います。
具体的には、以下の支援を行います。
社会保険の切り替え手続きと雇用保険の活用
特定技能外国人が社会保険に加入している場合、離職に伴い国民健康保険に切り替える必要があります。
同様に、厚生年金に加入している場合も国民年金に切り替えなければなりません。
手続きは、特定技能外国人が住んでいる市区町村の窓口で行います。状況に応じて、書類作成や申請時の同行などのフォローアップが必要です。
また、特定技能外国人が離職後にすぐ就職先が決まらない場合は、失業保険を受け取ることができる場合があります。条件に該当する場合は、管轄のハローワークに相談しましょう。失業保険の申請には、受け入れ企業による離職票の発行が必要ですので、状況に応じて準備をしておきましょう。
在留資格は継続できるが、出入国在留管理庁へ相談する
特定技能外国人の在留資格は、離職中であっても在留期限内であれば保持したまま日本に滞在し続けることができます。
しかし、就職活動をしていることを証明するなど、様々な条件があります。詳しくは管轄の出入国在留管理庁に相談しましょう。
⑦倒産等の場合には代替支援者を確保する
受け入れ企業が特定技能外国人への支援をすべて行っている場合において、企業の倒産により支援を行うことが困難なった際は、代替支援者を確保し、特定技能外国人の転職支援を確実に行う必要があります。
代替支援者とは、登録支援機関や関連企業などが該当します。なるべく特定技能外国人の支援実績があるところを選び、確実に支援が行われるように引き継ぎを行いましょう。
転職支援の任意的支援
転職支援の任意的支援として、雇用契約解除後であっても、次の就職先が決まるまでは、可能な限り支援を継続します。その他、特定技能外国人の生活に関するサポートや、心理的支援としてカウンセリングの実施を行います。
任意的支援は法的に義務付けられているわけではありませんが、特定技能外国人の生活とキャリアをサポートするために重要です。
転職支援を行った際に提出が必要な書類
会社都合で特定技能外国人との契約を解除し、転職支援を行う場合には、出入国在留管理庁に提出する書類があります。
必要書類は出入国在留管理庁によって書式が定められており、抜け漏れなく記載し提出しなければなりません。出入国在留管理庁の書類では「会社都合」を「非自発的離職時の転職支援」と表記されています。
- 必要書類
- 外国人の支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-7号または第4-3号)に、特定技能外国人の支援をした旨を記載。(参考様式第3-7号:支援実施状況に係る届出書)(参考様式第第4-3号:支援実施状況に係る届出書)
- 転職支援実施報告書(参考様式第5-12号)に、転職支援の詳しい内容を記載。(参考様式第5-12号:転職支援実施報告書)
これらの届出書は定期報告の際に提出が必要となりますので、提出期限内に提出準備を進めておきましょう。
転職支援に関する注意点
特定技能外国人の転職が決まった後も、受け入れ企業は様々な手続きを行います。
新しい受け入れ企業で働き始めるまで、しっかりと手続きを進めていきましょう。
転職先が決まったら、特定技能外国人は新しい受け入れ企業と協力して在留資格変更許可申請を提出し、次の受け入れ企業での就業のために在留許可を取得します。
在留資格変更許可申請には、特定技能外国人の住民税の納税証明書や源泉徴収票の写しなどが必要です。受け入れ企業はこれらの書類をスムーズに提出できるよう準備を進めます。
また、特定技能外国人が退職してから次の就職までの期間が開かないよう、可能な限りスケジュール調整を行うことも必要です。
在留資格の変更手続きの結果が出るまでには、平均で2ヶ月ほどかかります。この期間中、特定技能外国人は新しい受け入れ企業で働いたり、アルバイトをしたりできないため、収入が途切れてしまう場合があります。その対策として、退職日を調整し、今までの職場で収入を得られるように可能な限り調整しましょう。
まとめ
会社都合により特定技能外国人の契約解除を行う場合は、日本で次の就業先を探すための転職支援を行う必要があります。しかし、受け入れ企業が他社に就職先を紹介したり、職業紹介事業者とのやり取りを行うのは、ノウハウがないと難しい場合もあるでしょう。
自社での対応が難しい場合には、国内の人材紹介会社への相談をおすすめです。人材紹介会社は特定技能外国人の受け入れや手続きに関するノウハウを持っており、転職支援をよりスムーズにサポートすることができます。
また、特定技能外国人を受け入れる機会がありましたら、製造業に特化した人材派遣会社のキャリアリンクファクトリーにご相談ください。