特定技能「製造業」とは?旧3分野と統合後の工場製品製造業分野について詳しく解説

外国人雇用
公開日:24.06.06/更新日:24.08.22
特定技能「製造業」とは?旧3分野と統合後の工場製品製造業分野について詳しく解説

人材確保が難しい「製造業」の分野において、特定技能外国人の受け入れを進める企業が増えています。出入国在留管理局によると、令和5年12月末時点で「製造業」で働く特定技能外国人の人数は40,069人となっており、人材不足解消の一端を担っていることがわかります。

しかし、「製造業での受け入れ方法がわからない」「就業可能な職種が知りたい」といった悩みを持つ企業も多いのではないでしょうか。

この記事では、特定技能「製造業」の概要と、受け入れできる業種や要件、受け入れ方法まで詳しく紹介します。

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特定技能「製造業」とは?

「製造業」は人材不足が顕著な分野です。平成29年の全職種の有効求人倍率は1.50倍でしたが、製造業全体では2.80倍となっています。

特定技能「製造業」は、人材不足が深刻化している製造業の課題を補うために創設されました。創設後も対象となる業種や業務の見直しや追加が行われており、今後ますます需要が高まると考えられます。

旧3分野が工場製品製造業分野に統合

特定技能制度が導入された当初、製造分野は「素形材製造」「産業機械製造」「電気・電子情報関連製造」の3つの分野に分かれていました。しかし、特定技能の活用が進み、企業や特定技能外国人の手続きを簡素化するために、2022年4月以降、これらの製造業3分野は「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」として統合され、一つの分野として運用されていました。

また、2024年3月29日に政府は分野名を「工場製品製造業分野」と変更しました。

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これまでの業種・業務区分

これまで、特定技能「製造業」で対象となっていた業種は以下の4つです。

  • これまでの業種・業務区分
  • 素形材産業
  • 機械金属加工
  • 電気電子機器組立て
  • 金属表面処理

対象の業務区分は以下の3つです。

  • 対象の業務区分
  • 機械金属加工
  • 電気電子機器組立て
  • 金属表面処理

新たに追加になった業種・業務区分

2024年3月29日に政府は、「工場製品製造業分野」に新たな業種・業務区分を追加する閣議決定を行いました。11業種と7業務区分が新たに追加されます。

追加となった11業種
  • 追加11業種
  • 鉄鋼業
  • 金属製サッシ・ドア製造業
  • プラスチック製品製造業
  • 紙器・段ボール箱製造業
  • コンクリート製品製造業
  • 陶磁器製品製造業
  • 繊維業
  • 金属製品塗装業
  • RPF製造業
  • 印刷・同関連業
  • こん包業
追加となった7業務区分
  • 追加7業務区分
  • 紙器・段ボール箱製造
  • コンクリート製品製造
  • 陶磁器製品製造
  • 紡織製品製造
  • 縫製
  • RPF製造
  • 印刷・製本

追加要望が多かった「縫製業」が特定技能の対象に

縫製業界は、「技能実習制度」を通じて外国人労働者を受け入れています。しかし、一部の企業で制度が悪用され、長時間労働や賃金未払いが発生していると問題視されています。

そうした状況の中、人材不足に直面している縫製業界では、外国人労働者の継続的な雇用への需要が高まっています。

これまでの問題を解決するために、以下の4つの追加要件が設定され、特定技能の対象業務として認定されました。

  • 4つの追加要件
  • 国際的な人権基準を遵守する
  • 勤怠管理を電子化する
  • 取引の適正化方針を含むパートナーシップ構築宣言を実施する
  • 給与を月給制にする

特定技能「製造業」3分野の該当業種と職種について

特定技能「製造業」の3分野である、「素形材産業」「機械金属加工」「電気電子機器組立て」の該当業種や職種について紹介します。

素形材産業分野

「素形材産業」とは、金属やプラスチックなどの素材に熱や圧力を加え、形を作り出す製造業のことです。この分野は、自動車、建築、機械製造など幅広い分野で必要とされており、産業全体を支える基盤的な役割を担っています。

該当する業種

素形材産業に該当する業種は次の通りです。

  • 該当する業種一覧
  • 鋳型製造業(中子を含む)
  • 鉄素形材製造業
  • 非鉄金属素形材製造業
  • 作業工具製造業
  • 配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)
  • 金属素形材製品製造業
  • 金属熱処理業
  • 工業窯炉製造業
  • 弁・同附属品製造業
  • 鋳造装置製造業
  • 金属用金型・同部分品・附属品製造業
  • 非金属用金型・同部分品・附属品製造業
  • その他の産業用電気機械器具製造業(車両用、船舶用を含む)
  • 工業用模型製造業

産業機械製造業

「産業機械製造業」は、企業の工場などで使用される「産業用機械」を製造します。産業用機械は、工場の生産性を向上させたり、エネルギーの効率的な使用を支援するなど、様々な機能を持つ機械です。

該当する業種

産業機械製造業の業種は次の通りです。

  • 該当する業種一覧
  • ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
  • はん用機械器具製造業(ただし、消火器具・消火装置製造業及び素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く)
  • 生産用機械器具製造業(ただし、素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く)
  • 業務用機械器具製造業(ただし、以下に掲げられた業種に限る)
  • 管理、補助的経済活動を行う事業所(27業務用機械器具製造業)
  • 事務用機械器具製造業
  • サービス用・娯楽用機械器具製造業
  • 計量器・測定器・分析機器・試験機・測量機械器具・理化学機械器具製造業
  • 光学機械器具・レンズ製造業
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電気・電子情報関連産業

「電気・電子情報関連産業」とは、電気や電子部品、情報通信機器などの設計・製造を行う業界のことで、単に素材を加工したり機械を組み立てる製造業とは異なります。この産業は、電気や電子技術に基づく製品やシステムの開発に特化しており、自動車部品の電動化をはじめ、IoT(モノのインターネット)、AI技術の進展などにより、今後も高い需要が見込まれています。

該当する業種

電気・電子情報関連産業の業種は次の通りです。

  • 該当する業種一覧
  • 電子部品・デバイス・電子回路製造業
  • 電気機械器具製造業(ただし、内燃機関電装品製造業及び素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く)
  • 情報通信機械器具製造業
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外国人が就業可能な職種

外国人が就業可能な職種は、製品の製造・加工に関わるものが含まれます。「機械金属加工」「電気電子機器組立て」「金属表面処理」の3つの業務区分に分けて紹介します。

①機械金属加工

  • 機械金属加工で就業可能な職種
  • 鋳造
  • ダイカスト
  • 金属プレス加工
  • 工場板金
  • 鍛造
  • 鉄工
  • 機械加工
  • 仕上げ
  • プラスチック成形
  • 溶接
  • 塗装
  • 電気機器組立て
  • 機械検査
  • 機械保全
  • 工業包装

②電気電子機器組立て

  • 電気電子機器組立てで就業可能な職種
  • 機械加工
  • 仕上げ
  • プラスチック成形
  • 電気機器組立て
  • 電子機器組立て
  • プリント配線板製造
  • 機械検査
  • 機械保全
  • 工業包装

③金属表面処理

  • 金属表面処理で就業可能な職種
  • めっき
  • アルミニウム陽極酸化処理

製造業で特定技能を導入するための企業要件

製造業で特定技能を導入する企業は、次の要件を満たす必要があります。

受入れ企業が対象産業に該当しているか

製造業の中でも、特定技能外国人を受け入れることができる産業分野は限定されており、似たような製品を扱う場合でも受け入れ対象外となるケースがあります。

たとえば、2つ以上のパーツを固定するための部品を製造する「産業分類番号2481:ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等の製造業」は特定技能の受け入れ対象ですが、「産業分類番号3224:はとめ製造業・かしめ製造業」は受け入れ対象外とされています。

受け入れ対象の産業は、特定技能外国人制度の公式ポータルサイトの「対象となる産業分類一覧」で確認できます。

参考:対象となる産業分類一覧

事業を継続しているか

企業が製造業の事業を継続していることも企業要件の1つです。事業の継続性は、直近1年間の「製造品出荷額等」で判定されます。製造品出荷額等とは、製造品の出荷額、加工賃の収入額、廃棄物の売却収益などを含みます。

事業者所有の原材料で製造されているか

製造品に関しては、事業所が所有する原材料によって製造されたものが該当します。また、製造品出荷には以下のものが含まれます。

  • 製造品について
  • 同一企業内で他の事業所へ引き渡されたもの
  • 自家使用されたもの(その事業所で最終製品として使用されたもの)
  • 委託販売されたもの(未販売のものを含むが、直近1年間に返品されたものは除く)

特定技能協議会に加入しているか

受け入れ企業は「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」に加入する必要があります。加入申請は経済産業省のホームページから行います。加入に関する費用は無料です。(令和6年5月時点)

複数の事業所を持つ企業は、事業所ごとに加入申請を行う必要があります。「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」の最新情報は、該当のウェブサイトをご確認ください。

参考:製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会 (METI/経済産業省)

特定技能外国人への支援をすること

特定技能外国人を受け入れる企業は、仕事のサポートにとどまらず、日本国内での生活全般にわたる支援の義務があります。支援には、出入国のための送迎、住居の確保などが該当します。

支援体制を整えるためには、「自社で支援計画を立てて実施する」または「登録支援機関に委託する」の2通りの方法があります。

製造業で特定技能を導入するための外国人の要件

特定技能外国人を雇用する場合、対象の外国人は特定技能1号「製造業」の在留資格を取得する必要があります。そのためには「日本語試験」及び「製造分野の「技能評価試験」に合格する、もしくは、「技能実習2号を修了」のいずれかが必要です。

日本語試験に合格

日本語試験では、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)のN4以上」のいずれかに合格する必要があります。「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」は、日常会話がある程度でき、生活に支障がない程度の能力を判定する試験です。

「日本語能力試験(JLPT)」は、N1が最も難しく、N5が最も易しいという難易度に分かれています。特定技能「製造」分野では、N4レベル以上の試験合格が必要です。

技能評価試験に合格

技能評価試験である「製造分野特定技能1号評価試験」は、日本と海外で開催されています。

日本国内では仙台から福岡までの10箇所で年3回、海外ではインドネシア、タイ、フィリピンで年1回開催されます。

試験の申し込みは、開催日の約1ヶ月前からウェブサイト上で受け付けられ、先着順で受験が可能です。申し込みは受験者本人が特定技能外国人人材制度のポータルサイトから行います。

申し込み時に、19の技能科目から試験区分を選びます。試験区分は、「機械金属加工」「電気電子機器組立て」「金属表面処理」の3種類から選択します。

試験は「学科試験」と「実技試験」の2部構成で、両方に合格する必要があります。受験料は8,000円で、合格後に特定技能の在留申請時に必要となる「合格証明書」の発行手数料は15,000円です。

試験の詳細は、経済産業省Webサイトでご確認ください。

参考:製造分野特定技能1号評価試験-試験案内

製造業で特定技能外国人の受け入れ方法

製造業で特定技能外国人を受け入れるためには、日本国内の雇用とは異なる手続きや、必要書類の提出を求められます。

特定技能外国人の採用から企業で受け入れるまでの流れや、その中で行う手続きの注意点については下記で確認できます。

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特定技能外国人を受け入れる際、必要書類を管轄の出入国在留管理局に提出します。必要書類は「申請人(特定技能を希望する外国人)に関する必要書類」「雇用企業に関する必要書類」「産業分野別に関する必要書類」の3種類があります。

それぞれの詳しい内容は下記で確認できます。

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まとめ

特定技能「製造業」は、即戦力となる外国人材を確保し、人材不足の解消が期待できる制度です。受け入れできる業種や業務区分も拡大しており、需要も年々増加傾向です。

しかし、特定技能制度は複雑で、さまざまな手続きを求められます。受け入れできる業種や業務区分には制限があり、企業や外国人本人に求められる要件もあります。

自社での対応が難しい場合には、国内の人材紹介会社への相談をおすすめします。人材紹介会社は特定技能外国人の受け入れのノウハウを持っていますので、受け入れまでのプロセスを効率化し、受け入れ業務の負担を軽減できます。

今後、特定技能外国人の受け入れを検討しているという企業さまは、製造業特化のキャリアリンクファクトリーに一度ご相談いただけますと幸いです。

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