特定技能「ビルクリーニング」とは?業務範囲や雇用方法を紹介

外国人雇用
公開日:24.02.06/更新日:24.08.22
特定技能「ビルクリーニング」とは?業務範囲や雇用方法を紹介

「特定技能制度」とは、人材確保が難しい業種において、一定の専門性・技能を持っている外国人を受け入れる制度です。人手不足に課題を感じている企業が多い中、そのニーズは年々高まっております。

「ビルクリーニング」分野は人手不足が続いている業界の1つであり、即戦力となる人材を求めている企業も多いのではないのでしょうか。この記事では、特定技能「ビルクリーニング」で行える業務や範囲、外国人を受け入れる手続きについて紹介いたします。

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特定技能「ビルクリーニング」とは?

特定技能「ビルクリーニング」とは?

特定技能「ビルクリーニング」とは、ビルクリーニング分野の人手不足解消のために創設された在留資格です。

近年、定期的な清掃が義務付けられている建物が増えており、建物内部の清掃を行うビルクリーニング分野へのニーズが高まっています。ここでは、特定技能「ビルクリーニング」ができた背景や現状を紹介いたします。

特定技能「ビルクリーニング」ができた背景

特定技能制度ができた背景として、日本国内で深刻化する人手不足が挙げられます。中でも「ビルクリーニング」分野の人手不足は深刻な状態です。

厚生労働省によると、平成29年における全職種の有効求人倍率は1.50倍に対し、ビルクリーニングの有効求人倍率は2.95倍となっております。

その一方で、定期的な清掃が義務付けられている「特定建築物」の数は、平成24年3月末の42,905棟に対し、平成29年3月末には45,251棟と、近年急増しています。特定建築物とは、延べ面積が3,000平方メートルを超える大規模な建物で、百貨店や事務所、旅館やホテルなどが当てはまります。

特定建築物の数は年々増加しており、建物内部の清掃を行うビルクリーニングの需要が高まっています。

人手不足の課題を解消するため、一定の知識・技能を持つ即戦力として見込まれる外国人の受け入れが可能な特定技能「ビルクリーニング」が創設されました。

特定技能「ビルクリーニング」の現状

出入国在留管理庁の令和5年6月末時点の統計によると、特定技能「ビルクリーニング」分野で在留している外国人数は2,728人です。

主要国の人数内訳は、ベトナムが1,377人、インドネシアが433人、ミャンマーが296人となります。

特定技能外国人の人数は、前年対比で比較すると大きく増加しております。

主要国別の前年対比人数

 令和4年6月末令和5年6月末前年対比
外国人合計1,1332,728240.78%
ベトナム6491,377212.17%
インドネシア89433486.52%
ミャンマー143296206.99%

特定技能「ビルクリーニング」の基本情報と業務範囲

特定技能「ビルクリーニング」の基本情報と業務範囲

特定技能「ビルクリーニング」の主な業務範囲は、オフィスビル、官公庁、病院、銀行、商業施設、ホテル、レストランなどの建物内部の清掃です。建物内部とは、床・天井・内壁・トイレ・洗面所などを指します。

関連業務として、高所作業を行わない範囲での建物外部の清掃、建物に植えられている木や植物の管理も行うことができます。

ベットメイキング業務に従事可能

特定技能「ビルクリーニング」分野では、関連業務としてベッドメイキング業務に従事できます。ただし、客室清掃、アメニティ補充、ベッドメイキング作業という「客室清掃業務」の一連の流れの中で行う点にご注意下さい。

雇用できる人数や期間

特定技能「ビルクリーニング」分野は、外国人の受け入れ人数に制限がありません。在留可能な期間は、在留資格によって異なります。「特定技能1号」は最長5年(通算)、「特定技能2号」は期間の制限がありません。

特定技能1号・2号とは

特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類の在留資格があります。

「特定技能1号」は特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格となり、「特定技能2号」は特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。

まずは「特定技能1号」からスタートし、要件を満たすことで「特定技能2号」に進むことができます。

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受け入れ企業の要件

特定技能「ビルクリーニング」分野では、外国人を直接雇用する決まりとなっています。派遣での間接雇用はできません。また、特定技能外国人を雇用(受け入れ)する企業は、以下の要件を満たさなければなりません。

  • 受け入れ企業の要件
  • 事業所ごとに「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」への登録をする
  • 「ビルクリーニング分野特定技能協議会」の構成員になる

外国人が満たすべき条件

外国人本人が満たすべき条件として、「特定技能評価試験と日本語試験に合格する」もしくは、「ビルクリーニング分野の技能実習2号を修了する」のいずれかを満たし、特定技能の在留資格を取得する必要があります。

「技能実習」との違い

「技能実習」は、外国人が日本の技術を学び、母国に持ち帰るという国際貢献を目的としています。実習が本来の目的であり、労働力の確保を目的としてはいけません。

一方、「特定技能」は労働力の確保を目的としております。「特定技能」は制度の特性上、日本語・技能レベルが一定以上の外国人の受け入れが可能です。即戦力として期待できる特定技能外国人を受け入れることで、人手不足の解消や優秀な人材確保が期待できます。

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特定技能「ビルクリーニング」の雇用方法

特定技能「ビルクリーニング」の雇用方法

特定技能「ビルクリーニング」で外国人を受け入れる企業には、雇用するための条件が定められています。雇用条件と手続きについて紹介いたします。

「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」への登録が必要

特定技能で外国人を受け入れる企業は、清掃業務事業の登録が必要です。登録は営業所の所在地を管轄する都道府県知事が行いますので、該当する都道府県に登録申請書を提出します。

申請方法は都道府県によって異なりますので、営業所の所在地を管轄する「都道府県生活衛生担当部署」に問い合わせて下さい。

「ビルクリーニング分野特定技能協議会」の構成員に登録が必要

特定技能で外国人を受け入れる企業は、「ビルクリーニング分野特定技能協議会」へ加入が必要です。

ビルクリーニング分野特定技能協議会とは、厚生労働省、公益社団法人全国ビルメンテナンス協会、特定技能外国人を受け入れている企業などにより構成している協議会です。

厚生労働省のホームページから加入申請を行います。

参考:ビルクリーニング分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」について)

支援体制の構築や登録支援機関への委託が必要

特定技能外国人を受け入れる企業は、出入国のための送迎、住居の確保など、様々な支援体制の義務が発生します。支援体制を整えるには、「自社で支援計画を立てて実施する」または「登録支援機関に委託する」の2通りの方法があります。

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特定技能「ビルクリーニング」の試験について

特定技能「ビルクリーニング」の試験について

特定技能評価試験は、特定技能の分野によって異なります。特定技能「ビルクリーニング」の場合、「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」と「日本語試験」に合格する必要があります。それぞれの試験内容や、申し込みの流れについて紹介いたします。

特定技能評価試験内容

「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」には、判断試験と作業試験の2つの科目があり、判断試験はペーパーテスト、作業試験は実際に用具を使って清掃作業を行う試験です。それぞれの試験内容は以下の通りです。

判断試験

  • 判断試験
  • 清掃用具や作業の流れについて、選択式で回答する
  • 試験時間は20分

作業試験

  • 作業試験
  • 「床面の定期清掃作業」「ガラス面の定期洗浄作業」「洋式大便器の日常清掃作業」の3種類の清掃作業を12分以内に完了させる。
  • 使用資器材は、試験会場に用意されている物を使う

日本語試験内容

日本語試験には、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)のN4以上」の2つがあり、いずれかに合格する必要があります。

「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」は「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを判定する試験です。

「日本語能力試験(JLPT)」は難易度でN1〜N5のレベルに分かれていて、N1が一番難しく、N5が一番やさしくなっています。特定技能「ビルクリーニング」では、N4以上の試験合格が求められます。

受験資格

試験を受験するには、試験実施日に受験者の年齢が満17歳以上と定められております。インドネシア国籍の外国人が「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」を受験する場合のみ、テスト日において満18歳以上である必要があります。

日本国内で受験する場合、在留資格が必要になります。在留資格は短期滞在でも問題ありません。

ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験の試験日程

「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」は日本、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、カンボジアで開催されています。

日本で受験する場合、受験料は、日本では1,100円程度です。

試験日程は会場によって異なりますが、国内外でそれぞれ年1〜2回程度実施されます。試験範囲の詳細や例題、最新情報についてはビルクリーニング分野特定技能協議会のホームページから確認できます。

参考:特定技能

ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験の申込み方法と合否確認

試験の申し込みは、受験者本人が「全国ビルメンテナンス協会」のホームページからインターネットで行います。申し込みには個人アカウントの登録を行いますが、その際に受験者本人の顔写真をアップロードする必要があります。

合否結果は、試験実施後およそ30日後に受験者にメールで通知され、合格者の受験番号が全国ビルメンテナンス協会のホームページに公表されます。

試験合格後の手続き

「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」については、雇用契約後に受け入れ企業が、全国ビルメンテナンス協会に「合格証明書」の交付を申請します。交付手数料(凡そ14,300円)が発生します。合格証明書は、特定技能ビザ申請の際に提出を求められる重要書類です。そのため、申請前に取得し、準備する必要があります。

「日本語試験」については、受験者が合格証明書の写しを用意し、受け入れ企業へ提出します。

まとめ

特定技能「ビルクリーニング」は、ビルクリーニング分野で即戦力となる外国人材を確保し、人手不足の解消が期待できる制度です。

しかし、特定技能制度は複雑で、分野毎に様々な手続きが求められます。自社での対応が難しい場合には、国内の人材紹介会社への相談がおすすめです。受け入れまでのプロセスを効率化し、受け入れ業務の負担を軽減できるからです。

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