特定技能でブラジル人は受け入れできる?特徴と注意点を紹介
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多くのブラジル人が日本で働き生活していますが、「ブラジル人の受け入れ方法がわからない」とお悩みの企業も多いのではないでしょうか。
近年需要が増加している特定技能ですが、ブラジル人の受け入れはほとんど進んでおらず、「ブラジル人は特定技能で受け入れできないのでは」と考えている方もいるかもしれません。
この記事では、特定技能でブラジル人を受け入れることができるのかどうか、またブラジル人の特徴と受け入れる上での注意点を紹介いたします。
目次
特定技能でブラジル人を受け入れできる?
特定技能の在留資格には国籍の制限はありません。
対象のブラジル人が「日本語試験」や「特定技能分野試験」に合格するなど、受け入れ条件をクリアしていれば、在留資格の申請が可能です。
日本で働くブラジル人の状況
令和5年度末の出入国在留管理庁の調査によると、日本に在留しているブラジル人は21.2万人です。
在留外国人数全体の6.77%を占め、国別の人数は5位となっています。
引用:令和5年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁
ブラジル人全体の状況
日本に在留しているブラジル人の在留資格の内訳では、「永住者」と「定住者」の人数が大半を占めています。
永住者と定住者は、日本国内での活動内容に制限のない在留資格ですが、在留期間が異なります。永住者は在留期間に制限がありませんが、定住者は在留期間が定められており、定期的に在留資格を更新しなければなりません。
在留資格 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
永住者 | 115,287人 | 54.42% |
定住者 | 72,187人 | 34.08% |
日本人の配偶者等 | 15,933人 | 7.52% |
特定技能の状況
令和5年度末時点で、特定技能で働くブラジル人は「4人」と少ない状況です。
背景には、「日系3世」に該当するブラジル人は「告示定住」に該当し、定住者の在留資格の取得が可能であり、特定技能の在留資格を取得する必要性が少なかった点が挙げられます。
日系3世とは、1940年代以降に日本から海外に移住した日本人の孫を指します。具体的な年齢層は個々の家族の移住時期によって異なりますが、日系3世の多くは中高年層に属しています。
しかし、この後に続く世代の日系4世以降は、定住者の条件に入っていません。そのため、日本の在留を希望する日系4世以降のブラジル人は、他の在留資格を活用しなければなりません。
日系4世向けの在留資格は条件が厳しく、活用は進んでいない
日系4世向けの在留資格には、特定活動の「日系四世の更なる受入れ制度」がありますが、申請条件や活動条件が限られています。
まず、申請にあたって、日系4世の外国人の手続きや入国後の支援を無償で行ってくれるサポーターを確保しなければなりません。
また、入国後は日本で仕事をできますが、「1週間に1回以上日本語や日本の文化を学ぶ活動を続ける」と規定されています。
条件が難しいため、「日系四世の更なる受入れ制度」の活用は進んでいない状況です。
そのため、今後日系4世が日本に在留する方法として、「日本で働くこと」を重視した在留資格である、特定技能の需要が高まっていく可能性があります。
ブラジル人の特徴
ブラジル人の特徴を紹介いたします。
ブラジルの基本情報
ブラジルは中南米の国で、日本から見ると地球の裏側に位置しています。日本から飛行機でブラジルに行くためには、アメリカやヨーロッパを経由して、合計で約30時間ほどかかります。
面積は851.2万平方キロメートルで、日本の約22.5倍の大きさです。
人口は約2億1,531万人(2022年)で、欧州系、アフリカ系、東洋系、混血、先住民など、様々な民族が暮らしています。
宗教はキリスト教が多く信仰されており、カトリックが約65%、プロテスタントが約22%、無宗教が約8%の割合です。
公用語はポルトガル語ですが、ブラジルには日系人が多く住んでおり、日本語教育が行われている地域もあります。
ブラジル人の性格
ブラジル人の性格は、おしゃべり好きでフレンドリーであることが特徴です。多様な民族の中で暮らしているため、様々な国出身の人がいるような職場でもフレンドリーに接してくれることで、職場の雰囲気が明るくなることでしょう。
また、家族を大切にしており、誕生日や記念日には家族で集まりパーティーを開きます。「家族を支えるために働く」というモチベーションが、仕事での働きにも期待できます。
特定技能でブラジル人を受け入れるメリット
ブラジル人にとって、日本は馴染みやすい国の一つです。日本での生活に馴染みやすいことで、受け入れたブラジル人が定着し、長期就労に繋がることが期待できます。
日本とブラジルは古くから親交があります。1908年には日本からブラジルへの移住が進められた歴史があり、今でもブラジルには日系人が約270万人も居住しています。
日本に在留しているブラジル人も21.2万人と多く、日本の中には「ブラジルタウン」と呼ばれるほど、ブラジル文化が根付いている場所もあります。
日本はブラジル人同士でのコミュニケーションが取りやすく、暮らしやすい環境と言えるでしょう。
特定技能でブラジル人を受け入れる注意点
特定技能でブラジル人を受け入れる上では、注意点もあります。受け入れを進める前に確認しておきましょう。
分野別資格試験は日本で受験する必要がある
特定技能外国人の在留資格申請の条件には、外国人が「日本語能力試験でN4以上の認定を受ける」ことと「各分野の試験に合格する」ことがあります。
日本語能力試験はブラジルで受験できますが、各分野の試験はブラジルでは実施していないため、日本に入国してから受験する必要があります。
そのため、ブラジル在住の外国人を特定技能として雇用したい場合は、各分野の試験のための渡航費の負担割合や、受験のために「短期滞在」の在留資格を申請する手続きについて考えなければなりません。
入国の渡航費は、他の国に比べると高くなる
海外に居住している特定技能外国人を受け入れる際、日本への入国のための渡航費がかかります。渡航費は外国人の合意を得た上で、外国人負担としても問題ありませんが、福利厚生の一環として企業が負担するケースもあります。
ブラジルは日本から見ると地球の裏側に位置しており、距離があります。渡航費は他の国と比べると高くなる傾向にあり、受け入れにかかる費用を考える必要があります。
言語の課題について対策が必要
ブラジルの公用語はポルトガル語です。
日系ブラジル人であっても、日常的に日本語を使っているとは限りません。そのため、日系の人であっても、会話や仕事の指示内容がしっかりと伝わるように、日本語はゆっくり話すように心がけ、コミュニケーションを丁寧に取りましょう。
特定技能でブラジル人を受け入れる方法
特定技能でブラジル人を受け入れるまでには、以下6項目の実施が必要です。
- 6項目
- 受け入れ要件の確認
- 特定技能外国人の募集・面接
- 内定後、雇用契約の締結
- 支援計画の策定
- 在留資格の申請
- 就業開始
受け入れ要件の確認
特定技能制度では、「受け入れ企業の基準」「雇用契約の基準」「支援体制の基準」が定められており、企業はこれらの基準を満たさなければなりません。
特定技能外国人の募集・面接
特定技能外国人の募集・面接を行います。
ブラジル人の募集方法には、人材紹介会社や登録支援機関への依頼、外国人採用に特化した求人広告メディアの利用、SNSを活用する方法などがあります。
募集を通じて求職者が集まったら、対面またはオンライン(ウェブ)などで面接を実施します。
内定後、雇用契約を締結
特定技能の雇用契約書は、特定技能基準省令で定める基準に準じた内容で、内定者(ブラジル人)が理解できる言語で作成する必要があります。
支援計画の策定
特定技能は支援計画書の作成および提出が必要です。支援計画書には、支援責任者の氏名や役職(登録支援機関に委託する場合はその機関名)と、義務的支援の10項目に関する支援計画を記載する必要があります。
在留資格の申請
特定技能の在留資格の申請は、地方出入国在留管理局で行います。申請はオンラインでも可能です。申請する際には、「在留資格変更許可申請書」や、「在留資格認定証明書交付申請書」を提出する必要があります。
就業開始
在留資格の取得や変更が完了すると、特定技能外国人の就業を開始できます。就業後には、出入国在留管理庁に「特定技能外国人の就業状況に関する届出」が必要です。
二国間協定について
外国人の居住国によっては、「二国間協定」が結ばれている国があります。二国間協定が結ばれている国の外国人を受け入れる場合、上記以外にも特別な手続きが必要です。
しかし、日本とブラジルの間には二国間協定は結ばれていないため、上記以外の特別な手続きは必要ありません。(2024年7月時点)
まとめ
日本には多くのブラジル人が住んでおり、馴染みやすい国です。
現在、特定技能で働くブラジル人は少ないですが、日系4世以降は「永住者」や「定住者」の資格を取得できる要件に入っていないため、今後は需要が高まると考えられます。
ブラジル人の特定技能での受け入れについて、自社での対応が難しい場合には、国内の人材紹介会社への相談をおすすめします。
人材紹介会社は特定技能外国人の受け入れや手続きに関するノウハウを持っており、受け入れまでのプロセスを効率化し、受け入れ業務やその後の手続きに関わる企業の負担を軽減できます。
キャリアリンクファクトリーでは、特定技能の受け入れ支援をしております。特定技能外国人の受け入れをご検討中であれば、ぜひお問い合わせください。