特定技能の給料の平均相場はどのくらい?給料に関する注意点を丸っと解説!
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「特定技能外国人の給料設定をどうすれば良いかわからない」「賃金の平均相場や注意点を知りたい」といった疑問を持つ企業も多いのではないでしょうか。
特定技能外国人にとって給料は、求人への応募や継続した就業に直結する重要なポイントです。外国に居住する外国人を募集する場合、海外の給料相場に注意を払う必要があります。さらに、特定技能は転職が可能であるため、国内他企業の給料相場を把握しなければなりません。
この記事では、特定技能の給料について、平均相場や決め方、注意点を詳しく紹介いたします。
目次
特定技能の給料の平均相場はどのくらい?
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査の概況」によると、令和3年における特定技能を持つ外国人の平均賃金は19.49万円となっています。
この期間中、外国人労働者全体の平均賃金は22.81万円で、特定技能よりも高い年収であることが分かります。この要因として、特定技能を除く専門的・技術的分野の平均賃金が32.65万円と高く、外国人全体の平均賃金を引き上げていることが考えられます。
また、技能実習生の平均賃金は16.41万円で、特定技能の賃金より低い状況です。これは、特定技能が技能実習生と比較して技能や日本語レベルが高く、即戦力として期待されることが理由と考えられます。
さらに、特定技能は令和元年に創設された制度です。その需要は年々高まっており、賃金も上昇傾向にあります。実際に、特定技能の賃金は前年比で11.6%増加しており、他の分野よりも高い増加率を示しています。
在留資格区分 | 賃金 (万円) | 前年 増減率 | 年齢 (歳) | 勤続年数 (年) |
---|---|---|---|---|
外国人労働者計 | 22.81 | 4.6% | 32.7 | 3.4 |
専門的・技術的分野 (特定技能除く) | 32.65 | 8.0% | 32.9 | 3.3 |
特定技能 | 19.49 | 11.6% | 28.0 | 2.0 |
身分に基づくもの | 27.06 | 5.3% | 43.2 | 6.1 |
技能実習 | 16.41 | 1.5% | 26.9 | 2.0 |
その他 | 18.96 | -7.6% | 30.2 | 3.0 |
特定技能の給料の決め方や基準
特定技能外国人の給与は、「労働基準法」および「特定技能の運用要領」に従って決定されなければなりません。給与の決定方法や基準について紹介いたします。
労働基準法
労働基準法には、「労働者の国籍を理由に、賃金や労働時間、労働条件に差別的な扱いをしてはならない」と定められています。給与を決定する際には、特に注意が必要です。
参考:外国人雇用管理指針 全文
特定技能運用要領
特定技能外国人労働者の給与は、入管法に基づく特定技能運用要領に従い、同じような職務を行う日本人の従業員と「同等またはそれ以上」でなければならないと規定されています。
日本人従業員と同等以上とは
外国人の給与は、日本人従業員と同等以上に設定しなければなりません。
給与規定がある場合、日本人と外国人従業員を同一の規定に基づいて評価し、給与を決定します。
給与規定がない場合は、職務内容や役職、担当する責任などが同等の日本人労働者と比較して、特定技能外国人労働者の給与を同等またはそれ以上に設定します。
特定技能の給料支払いの注意点
特定技能外国人の給料支払いについて、いくつかの注意点がありますので、それらを紹介いたします。
最低賃金を下回ってはいけない
給与は労働基準法で定められている「最低賃金」以上に設定する必要があります。特定技能外国人の給与も、最低賃金を下回ってはいけません。
最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があり、どちらか高い方の金額以上を支払う必要があります。
最低賃金を下回る給与での雇用は、罰則の対象となります。最低賃金より低い給与を支払った場合、その差額を補償する義務が生じます。また、地域別最低賃金を下回る給与を支払った場合は50万円以下、特定産業の最低賃金を下回る給与を支払った場合は30万円以下の罰金が労働基準法により定められています。
最低賃金の詳細については、厚生労働省のホームページで確認できます。
時間外労働・休日出勤・夜勤は割増賃金が適用される
時間外労働、休日出勤、夜勤を行った際は、以下の割増賃金が適用されます。特定技能外国人も日本人労働者と同様に、割増賃金の支払いが必要です。
- 割増賃金の適用ケース
- 時間外労働:基本賃金の25%増し
- 休日出勤:基本賃金の35%増し
- 夜勤(22時~5時):基本賃金の25%増し
割増賃金の詳細は、厚生労働省のHPで確認できます。
参考:時間外、休日及び深夜の割増賃金(第37条)事業場外労働のみなし労働時間制(第38条の2) | 愛媛労働局
日本人労働者と同等の手当や賞与を支給する
日本人労働者に対して手当や賞与制度を設けている場合、特定技能外国人に対しても同等の手当や賞与を支給する必要があります。
また、日本人労働者に手当や賞与の制度がない場合、特定技能外国人に対しても支払い義務は生じません。ただし、特定技能外国人に対して手当や賞与を支給する契約を締結している場合は、契約通りの支払い義務が生じます。
給与控除に関する説明を十分に行う
給与控除に関しても、日本人労働者と同様に行います。給与控除の内容は、年齢や条件によって異なる場合がありますが、一般的には以下の項目が含まれます。
- 給与控除の項目
- 税金(住民税、所得税など)
- 各種保険料(社会保険、労働保険、介護保険など)
- 食費・居住費・光熱費
- その他(内訳と金額を明確にする)
給与から差し引かれる「控除」は、外国人労働者にとって馴染みが少なく、十分に理解されていない場合があります。日本の法律に基づいた給与控除を行っても、「給与が低い」「不正な控除が行われた」と誤解され、トラブルにつながる可能性があります。
特定技能外国人が給与控除に関する内容をしっかりと理解できるよう、母国語での説明が必要です。さらに、給与明細に給与控除の項目に関する母国語での解説を加えることで、内容の理解が深まります。
給与にかかる源泉徴収制度について
外国人を雇用する場合でも、日本人労働者と同様に源泉徴収が必要です。源泉徴収制度は「居住者」と「非居住者」で内容が異なります。
居住者の場合
日本に1年以上居住し、かつ日本に生活の拠点となる住所がある外国人は、「居住者」と分類されます。
居住者に分類された外国人は、累進課税が適用されます。累進課税とは、課税標準額(税額を決めるための課税対象となる金額)が多くなるほど、高い税率が適用される課税方式のことです。
社会保険料やその他の控除が適用されるため、年末調整を行う必要があります。
非居住者の場合
居住者に該当しない外国人は、「非居住者」に分類されます。非居住者には、給与の支給額に対して一律20.42%の税率で源泉徴収を行います。非居住者は源泉徴収のみで税の手続きが完了するため、年末調整は不要です。
特定技能は同一労働同一賃金に適用される?
同一労働同一賃金は、国籍を問わず適用されるため、特定技能外国人も対象に含まれます。
同一労働同一賃金とは、雇用形態による不公平な差を排除し、全ての労働者に対して平等・公正な待遇を保証する制度です。支給される賃金や手当だけでなく、福利厚生や教育研修など、全ての待遇を公平にする必要があります。
同種の仕事をしているにもかかわらず、「外国人である」「非正規雇用である」という理由での待遇差は許されません。しかし、「仕事内容が異なる」「与えられた責任が違う」など、合理的な基準に基づく場合には、賃金の違いが許容されます。
特定技能外国人から給料の交渉を受けた場合の対応
特定技能外国人から給与の交渉を受けた場合、まずは話し合いの場を設けることが大切です。
日本人を含む他の従業員の給与との整合性を考慮すると、給与交渉に容易に応じることは難しいかもしれません。しかし、交渉に応じない場合、特定技能外国人は将来の給与アップが期待できないと判断し、転職を考えることが多くなります。
積極的に話し合いをする姿勢を示すことで、自身が大切にされていると感じさせることができます。希望する給与水準を提供できない場合でも、賃金体系や評価基準を説明し、昇給条件を理解してもらえれば、転職の防止につながる可能性があります。
日本語での話し合いでは、感情的な表現やニュアンスが十分に伝わらないことがあります。支援機関や通訳を利用して、可能な限り母国語で丁寧に説明しましょう。
まとめ
特定技能外国人にとって、給料は重要なポイントです。給料の平均相場や、労働基準法・特定技能運用要領などの基準を理解し、適切な給料を決定しましょう。
また、割増賃金や賞与、給与控除は外国人にとっては馴染みの少ない制度です。後々のトラブルを防ぐため、母国語での詳細な事前説明が必要です。
給料に関する基準の把握やサポート体制の構築が困難な場合は、国内の人材紹介会社や、登録支援機関への依頼がおすすめです。給料の基準をしっかりと理解し、特定技能外国人を適切にサポートすれば、トラブルの解消や離職の防止が期待できます。
今後、特定技能外国人の受け入れを検討しているという企業さまは、製造業特化のキャリアリンクファクトリーに一度ご相談いただけますと幸いです。
キャリアリンクファクトリーでは、お客様から人材需要を確認し、貴社の要望に沿った人材を国内・海外合わせてネットワークを駆使して募集します。当社にて1次選考したスタッフを貴社にご案内します。ミスマッチ防止のため「オンライン面談」もしくは「現地で事前面談」を実施していただき、双方の了承を得て申請手続きを開始します。