日本で働くミャンマー人が増加している実態と雇用するメリットを紹介

外国人雇用
公開日:23.10.18/更新日:24.08.22
日本で働くミャンマー人が増加している実態と雇用するメリットを紹介

日本で馴染みのあるベトナム人やフィリピン人などの外国人と違って、ミャンマー人の国民性がイメージできないという方や、特徴が知りたいという方も多いのではないでしょうか。

ミャンマー人は日本人と国民性が似ており相性が良いとされております。若い優秀な人材が多く、人手不足に悩む日本企業からのニーズは年々高まっているのです。

この記事では、ミャンマー人の雇用が増加している実態と理由、ミャンマー人の特徴や雇用するメリット、おすすめの雇用方法を紹介いたします。

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ミャンマー人の雇用が急増している実態と理由

ミャンマー人の雇用が急増している実態と理由

令和4年10月末現在、外国人労働者数は182.2万人(前年172.7万人)となっており、前年比では9.6万人増加し、届出が義務化された平成19年以降過去最高を更新しております。

外国人労働者が増加する理由の1つには、ミャンマー人労働者の増加が挙げられます。外国人労働者の国籍別の内訳を見ると、ミャンマー人の割合は2.6%とまだまだ低い状態です。

しかし、ここ数年で労働者数は急増しています。令和4年10月末時点のミャンマー人労働者数は、前年対比で137.7%、直近5年では219.8%と、全外国籍の中で最も高い増加率になっています。

外国人労働者の割合が高い上位3国とミャンマー人の対比図

 平成30年令和4年直近5年の対比
人数人数割合人数増加率
外国人総数1,460,463 1,822,725100.0%362,262124.8%
ベトナム316,840 462,38425.4%145,544145.9%
中国389,117 385,84821.2%▲ 3,26999.2%
フィリピン164,006 206,05011.3%42,044125.6%
ミャンマー21,611 47,4982.6%25,887219.8%

参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)|厚生労働省

ミャンマー人の雇用が増加している理由

何故ミャンマー人の雇用は急増しているのでしょうか。在留資格別のミャンマー人労働者数で実態を確認していきます。

在留資格別の割合では、「技能実習」が約36%で最も多く、外国籍の合計割合と比較しても高い割合です。次いで「専門的・技術的分野の在留資格」の人数が多く、割合は約25%となっております。

「技能実習」と「専門的・技術的分野の在留資格」が全体の60%以上の割合を占めており、ミャンマー人雇用の増加に起因していることがわかります。

反対に、就労制限のない「身分に基づく在留資格」を持つミャンマー人は3,919人と少なく、外国籍の合計割合と比較しても割合の低さが顕著に表れています。身分に基づく在留資格とは、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」が含まれております。

ミャンマー人の在留資格別割合と外国籍計の比較(令和4年10月末時点)

 ミャンマー外国籍計
人数割合割合
全在留資格計47,498 100.0%100.0%
専門的・技術的分野の在留資格12,054 25.4%26.3%
特定活動7,064 14.9%4.0%
技能実習16,846 35.5%18.8%
資格外活動7,615 16.0%18.2%
身分に基づく在留資格 3,919 8.3%32.7%

技能実習の在留資格とは

技能実習とは、技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転し、経済発展を担う人づくりに寄与することで、国際貢献することを目的に創設された制度です。建設業・食品製造業・耕種農業・機械加工など87の職種で、最長5年間技能を実習しながら学ぶことを目的に在留資格が付与されます。

技能実習は1号・2号・3号があり、それぞれ技能実習の区分を示すものです。技能実習1号からスタートし、規定を満たした技能実習生が技能評価試験に合格することで、2号、3号に進むことができるのです。

技能を実習できる期間は区分により異なり、技能実習1号は1年、2号は3年、3号は5年まで在留できます。

在留目的が技能の実習で、単に労働力の確保を目的とした雇用はできません。また、実習できる業務内容や受け入れ可能な人数に制限があるなど、規定が細かく注意が必要です。

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専門的・技術的分野の在留資格とは

専門的・技術的分野の在留資格には、「特定技能」や「教授」、「医療」、「教育」などの高度人材が含まれます。

専門的・技術的分野の在留資格の雇用が増加している要因として、外国人労働者受け入れ制度の拡大を目的に2019年に導入された、特定技能の在留資格が考えられます。

特定技能とは、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的に創設された在留資格です。特定技能の在留資格が新設されたことで、専門的・技術的分野の在留資格を持つ外国人労働者の全体数は、前年対比21.7%と最も増加しているのです。

特定技能の在留資格を持つミャンマー人の雇用が増加している背景には、技能実習生として日本に来たミャンマー人が、特定技能の在留資格に変更しているケースが挙げられます。

日本はミャンマーと比べて給与水準が高く治安も良いので、長く日本に在留していきたいと考え、在留期間を延長できる特定技能の在留資格に変更していると考えられます。

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雇用が増加しているミャンマー人の特徴

雇用が増加しているミャンマー人の特徴

日本で雇用が増加しているミャンマー人とは、どのような特徴があるのでしょうか。

ミャンマーは1984年にイギリスから独立した国です。場所は東南アジアにあり、インド、中国、タイなどに囲まれた位置にあります。

2021年2月にミャンマー国内でクーデターが発生し軍事政権となって以降、武力衝突や講義デモが頻繁に起きており、諸外国から経済制裁を受けています。

元々ミャンマー国内の給与水準は低かった中、経済制裁により失業者は増加し、物価は急上昇するなど、貧困層が増加している実態です。そのため、ミャンマー国外へ避難したり出稼ぎに行ったりする人が増えており、今後その動きはますます増えていくのではないかと考えられています。

また、ミャンマー人の日本に対するイメージが良く、人気が高いと言われています。背景には、日本政府による開発援助や、日本企業によるインフラ整備の他、日本のアニメや漫画の人気が高く、日本の文化が認知されていることが挙げられます。そのため、日本に出稼ぎに行きたいというニーズが高いとされています。

ミャンマー人を雇用するメリット

メリット

ミャンマー人の雇用が増加する背景には、受け入れ先である日本企業にとっても多くのメリットがあり、ニーズの増加が考えられます。ミャンマー人を雇用する日本企業のメリットを紹介いたします。

減少する日本人の労働力を補う

少子高齢化の影響で、日本人の労働力は年々減少傾向です。総務省統計局公表の労働力人口で公表されたデータによると、2003年から2023年の約20年間で、日本人の労働力人口は173万人も減少しております。

特に15~34歳は476万人減少と深刻な状態です。日本人の平均年齢は約49歳と、世界で2番目に高齢化が進んだ国となっており、若者を中心に労働力の減少が顕著になっております。

参考:労働力調査 長期時系列データ

一方、ミャンマーの人口は年々増加傾向です。2001年4,601万人だった人口は2021年には5,380万人にまで増加し、20年で+779万人(対比117%)となっています。

更にミャンマー人の平均年齢は27歳で、日本人と比較すると平均年齢が若い実態です。ミャンマー人の雇用を進めることで、日本人の労働力人口減少を補う若者の就業が期待できることから、日本企業のニーズが高まっております。

ミャンマー人は日本語の習得が早い

ミャンマー語(ビルマ語)は、日本語の文法と似ているため、ミャンマー人は日本語の上達が早い傾向にあります。ミャンマー語と日本語は類似した語順なので、勉強をするときに単語だけ覚えれば良く、他の国の外国人が日本語を勉強するより早く習得できるのです。

また、ミャンマー語は280音で構成されておりますが、中には日本語の50音と類似する発音もあります。そのため、日本語の発音も習得しやすい傾向があります。

言語は外国人の雇用を行う中で課題となることが多いですが、日本語の習得が早い傾向のあるミャンマー人を雇用することで、課題をより早く解決できるメリットが期待できます。

人柄が良く仕事に対するモチベーションが高い

ミャンマーは仏教が広く信仰しています。仏教の教えにより、利他精神、素直さ、礼儀などを持ち合わせており、日本人の文化と共通する部分も多いです。

母国では不安定な社会情勢が長く続いており、平和への願望が強く、困っている人を助ける精神を持った人柄の人が多い傾向にあります。

また、ミャンマーは平均賃金が低い国であり、国内の平均月収は1~2万円です。ミャンマー国内で働くよりも日本で働いた方が賃金が良く、母国の家族を支えるために高いモチベーションで就業する人もいます。

日本の高い技術力を習得したいという熱意もあり、その背景から簡単に仕事を辞めずに真面目に働く人が多い印象です。

労働力不足の日本企業にとって、人柄が良く真面目に働くミャンマー人の受け入れは、大きなメリットとなっております。

ミャンマー人を雇用するなら特定技能がおすすめ

ミャンマー人を雇用する方法

人手不足の解消を目的にミャンマー人を雇用する場合、特定技能の在留資格がおすすめです。特定技能の在留資格は、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において幅広い業務を行うことができるだけでなく、特定技能2号に進むことで在留期間の上限がなくなり、長期就業が可能です。

特定技能の在留資格を持つには、技能評価試験や日本語能力試験に合格する必要があります。そのため、技能や日本語のレベルが高い人材であることが期待できます。

特定技能の在留資格は、技能実習2号を良好に修了することで取得できます。日本にはミャンマー人の技能実習生が多く実習しており、今後も増加する見通しです。そのため、技能実習から特定技能に在留資格を変更できるミャンマー人を確保しやすい状況です。

その他にも現地(ミャンマー)のエージェントと契約し、特定技能の在留資格を取得し来日させる方法もあります。

特定技能でミャンマー人を雇用する方法

特定技能でミャンマー人を雇用する方法

参考:出入国在留管理庁「ミャンマー特定技能外国人に係る手続きの流れについて

ここでは、特定技能でミャンマー人を雇用する方法について紹介いたします。

日本国内に在住するミャンマー人を雇用する場合

日本国内に在住するミャンマー人を受け入れる場合、以下の流れで受け入れを進めていきます。

  • 日本在留のミャンマー人を受け入れる流れ
  • 日本国内で求人活動
  • 求人応募のあった該当の外国人が特定技能外国人の条件を満たしているか確認
  • 雇用契約締結
  • 事前ガイダンス、健康診断、支援計画の策定
  • 在留資格変更許可申請(資格変更申請)
  • ミャンマー人自身が在日ミャンマー大使館でパスポート更新申請
  • 就労開始

日本国外に在住するミャンマー人を雇用する場合

日本国外からミャンマー人を受け入れる流れは次の通りです。

  • 日本国外のミャンマー人を受け入れる流れ
  • 受け入れ企業が認定送り出し機関へ求人票の提出
  • 認定送り出し機関が求人票をミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP)へ提出
  • MOLIPを通じ、在日ミャンマー大使館、教育・健康及び人材開発委員会の順に求人票の内容確認と承認を得る
  • MOLIPから認定送り出し機関が求人票の承認を受け、人材紹介開始
  • 認定送り出し機関を通じ、雇用契約締結、事前ガイダンス・健康診断実施
  • 支援計画の策定
  • 在留資格認定証明書の交付申請(資格取得申請)
  • ミャンマー人自身がスマートカード(海外労働身分証明 OWIC)の発行申請(ミャンマー発行の就労許可)
  • スマートカードが発行された後、ミャンマー人自身が在日ミャンマー大使館に査証の発行を申請
  • ミャンマー人が出国、日本に特定技能外国人として入国し就労開始

ミャンマーから採用する場合は、ミャンマー政府から認定されている現地の送り出し機関を通じて、人材の紹介及び雇用契約の締結をします。認定されていない送り出し機関からの採用は出来ません。

ミャンマー政府による認定送り出し機関のリストは、出入国在留管理庁ホームページに掲載されています。

また、ミャンマー人が海外(この場合、日本を含む)で就労する場合は、「海外労働身分証明カード(OWIC)」が必要になります。その発行には2週間から数ヶ月かかります。

在留資格認定証明書が発行されてから3ヵ月以内に外国人は来日しなければならないため、事前に海外労働身分証明カード(OWIC)の発行手続きをしていない場合、来日までに発行が間に合わない可能性があるため、注意しましょう。

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まとめ

ミャンマー人の雇用は、日本人の労働力人口減少を補う有効的な手段です。日本人との相性も良く企業のニーズは増加し、日本に在留するミャンマー人は急増しております。

人手不足の解消を目的にミャンマー人の雇用を進める場合には、特定技能の在留資格がおすすめですが、特定技能の取得や雇用は知識やノウハウが必要となります。

自社で採用活動が難しい場合には、特定技能人材に対応できる人材派遣会社に相談・依頼することが有効的です。なぜなら、受け入れニーズに応じての人材提案や、採用・雇用の負担を削減することができるからです。

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