外国人労働者の在留資格の種類と受け入れる企業の注意点を紹介
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外国人労働者の受け入れをしたいが、必要な在留資格の選定方法がわからないといった悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか?。
外国人労働者数は、令和4年10月末現在で182.2万人となり、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新しております。企業ニーズも年々高まっており、外国人を雇用する事業所数は29.9万所でこちらも届出義務化以降、過去最高を更新しているのです。
参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)|厚生労働省
外国人労働者の受け入れが加速する中、外国人が日本で働くためには、就労可能な在留資格を取得していなければなりません。
在留資格の中には、就労できないものや、労働条件に制限があるからです。あらかじめ制限を理解し、必要となる在留資格を理解していく必要があります。
この記事では、在留資格とは何なのか、ビザとの違い、資格の種類や受け入れ企業の注意点を紹介いたします。
外国人労働者の在留資格は日本での活動に必要な資格
在留資格とは、日本における外国人の滞在と一定の活動を認める資格です。日本への入国前に審査が行われ、審査に通過した外国人には在留資格認定証明書が発行されます。
混同する表現に「ビザ」がありますが、ビザとは入国を許可するために発行する査証(さしょう)です。入国を許可するビザと、入国後に日本での滞在と一定の活動を認める在留資格は目的が異なります。また、働くことを目的とした在留資格を、「就労ビザ」(通称)と表現されることがあります。
法務省データによると、在留資格は29種類あります。「出入国管理および難民認定法」で日本で活動を認める範囲と在留期限を、在留資格ごとに定められています。また、同時に2種類の在留資格を所持することは認められていません。
外国人労働者の在留資格と制限
29種類ある在留資格は、「活動制限のない在留資格(身分に基づく在留資格)」、「活動範囲が定められた在留資格」、「就労活動が認められない在留資格」、「その他の在留資格(特定活動)」の4つに分類されます。それぞれ紹介いたします。
活動制限のない在留資格(身分に基づく在留資格)
「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の4種は、身分に基づく在留資格です。活動制限のない在留資格とされており、日本人と同様に就労活動に制限がありません。単純作業労働への就業も可能です。在留資格の特性上、日本語が堪能で文化に馴染んだ外国人が多い傾向があります。
活動範囲が定められた在留資格
活動範囲が定められた在留資格には、「外交」、「公用」、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職1号・2号」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「特定技能」の18種があります。
これらは「専門的・技術的分野の在留資格」と表現され、技術、人文知識、国際業務、経営、法律、会計業務、医療などの専門家です。グローバル化や技術の向上などを在留目的としており、単純労働は認められていません。在留資格によっても差がありますが、概ね5年以内の就業が許可されています。
特定技能については下記の記事も合わせてご覧ください。
また、活動範囲が定められた在留資格には「技能実習」の在留資格があります。技能実習とは、技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転し、経済発展を担う人づくりに寄与することで、国際貢献することを目的に創設した制度です。
1号・2号・3号があり、それぞれ技能実習の区分を示すものです。技能実習1号からスタートし、規定を満たした技能実習生が技能評価試験に合格することで、2号、3号に進むことができます。建設業・食品製造業・耕種農業・機械加工など87の職種で、最長5年間技能を実習しながら学ぶことができます。
技能実習については下記の記事を合わせてご覧ください。
就労活動が認められない在留資格
「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「研修」、「家族滞在」の5種は、就労活動が原則認められない在留資格です。在留資格に含まれていない収益活動は禁止されております。
しかし、臨時的な収益活動を行うにあたり、あらかじめ出入国在留管理庁より「資格外活動」の許可を得た場合は、許可された範囲(1週間当たり28時間以内など)で収益活動を行うことができます。(例:留学生や家族滞在者のアルバイトなど)
資格外活動とは、臨時的な収益活動を行おうとする場合に必要な許可制度です。
その他の在留資格(特定活動)
その他の在留資格には、「特定活動」が該当します。
特定活動とは、その他の在留資格に該当しない外国人個人の事情と在留資格申請の条件に対して、法務大臣が許可する在留資格です。例えば、コロナ過の特別処置で帰国が困難な外国人に対して、6ヶ月の特定活動を認めるといった場合に活用されます。
特定活動によって、政府は法改正(出入国管理及び難民認定法)することなく日本に在留可能な活動の許可ができます。特定活動で認可される例には「ワーキングホリデー」や「インターンシップ」があります。
在留資格別の外国人労働者数の実態
厚生労働省によると、在留資格別の外国人労働者数(令和4年10月末現在)は以下の通りです。上位2種の在留資格が、全体割合の半分以上を占めております。
在留資格 | 労働者数(人) | 割合 | 前年比(人) |
---|---|---|---|
身分に基づく在留資格 | 595,207 | 32.66% | +14,879 |
専門的・技術的分野の在留資格 | 479,949 | 26.33% | +85,440 |
技能実習 | 343,254 | 18.83% | -8,534 |
資格外活動 | 330,910 | 18.16% | -3,693 |
特定活動 | 73,363 | 4.03% | +7,435 |
参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)|厚生労働省
身分に基づく在留資格を持つ外国人労働者の割合が最も多い
在留資格別の割合でもっとも多いのが、「身分に基づく在留資格」(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)を有している外国人労働者です。前年比+1.49万人(+2.6%)と増加しております。
増加要因としては、日本人と同様に就労の制限がなく、単純労働を含め様々な業種に就業することができるため、外国人労働者への企業ニーズが高まったことで、需要が増加したと考えられます。
専門的・技術的分野の在留資格を持つ外国人労働者は前年対比で最も増加
前年対比で最も増加したのが、「専門的・技術的分野の在留資格」を持つ外国人労働者数です。
前年比+8.54万人(+21.7%)と急増した背景には、外国人労働者受け入れ制度の拡大として2019年4月に導入された「特定技能」の影響が考えられます。
特定技能とは、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的に創設された在留資格です。
特定技能では、新たに12分野での就労が認められ、特に労働力が不足している「介護」、「建設」、「農業」、「製造業」の分野で外国人労働者の増加が見られます。
特定技能には1号と2号があります。特定技能1号は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。特定技能2号は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
特定技能1号と2号の主な違いは以下となります。
特定技能1号 | 特定技能2号 | |
---|---|---|
在留期間 | 1年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間ごとの更新(通算で上限5年まで) | 3年、1年又は6か月ごとの更新 |
技術水準 | 試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除) | 試験等で確認 |
日本語能力水準 | 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認 (技能実習2号を修了した外国人は試験免除) | 試験等での確認は不要 |
家族の帯同 | 基本的に認めない | 要件を満たせば可能(配偶者、子) |
対象の産業分野 | 12分野(介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業) | 11分野(ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業) |
2023年から特定技能2号の対象分野が9分野追加(追加前は建設と造船・舶用工業の2分野のみ)となり、今後外国人労働者は更に増加すると考えられます。
在留資格を持つ外国人労働者を受け入れする際の注意点
様々な在留資格がある中、外国人労働者を受け入れする企業にはいくつかの注意点があります。注意点と問題解消方法を紹介します。
在留資格には就労活動と在留期間の制限がある
外国人の日本での活動は、在留資格毎に「出入国管理及び難民認定法」で範囲と在留期限が定められております。違反が発覚すると、不法就労していた本人が罰せられるのはもちろんのこと、受け入れ先の企業も「不法就労助長罪」で処罰の対象となります。
※不法就労助長罪の処罰:3年以下の懲役、もしくは 300万円以下の罰金、又はその両方
「自職場の外国人労働者は大丈夫」と安易な考えは危険です。出入国在留管理庁によると、令和3年中に不法就労事実が認められた外国人労働者数は1万3,255人となり、実際に多くの摘発が発生しているのです。
企業が注意すべきポイントとして、まずは在留資格毎の就業範囲と在留期限を把握し、自職場で受け入れできる在留資格を選定しましょう。
また、受け入れ前に在留カードの確認を行い、在留資格を確認することも重要です。在留カードを確認することで、本人確認・在留期限・就労の可否を把握できます。
口頭やコピーでの確認は、虚偽の報告のリスクが伴いますので、必ず在留カードの原本を確認する必要があります。在留資格には期限があるため、受け入れ後も外国人労働者毎に期限の把握を行い、期限の更新を行う場合には同じく更新確認を徹底しましょう。
外国に居住する外国人労働者の雇用には企業が在留資格の申請を行う
在留資格の申請は原則本人が行いますが、外国に居住する外国人は日本での申請が難しいため、企業が代理して「在留資格認定証明書」を申請する必要があります。
在留資格認定証明書とは、外国人が日本に在留して行おうとする活動が、在留資格該当性・上陸基準適合性の要件に適合しているか法務大臣が事前に審査を行い、条件に適合すると認められる場合に交付される証明書です。
取得後、「在留資格認定証明書」を本人宛に発送し、受取後に本人が在留資格の申請を進める流れが一般的です。申請後、在留資格が発行されるまで数ヶ月を有する場合があります。
また、在留資格認定証明書発行後も在留資格を満たしていないと判断された場合には、申請が不許可になる場合もあります。
外注化することで知識不足や手間の発生を解消できる
外国人労働者の受け入れや在留資格の確認・管理は、多くの知識や労力が必要です。知識不足や手間の発生を解消するには、採用や雇用の外注化が効率的です。
外国人採用ができる人材会社に依頼することで、採用までの問題が解消できる場合があります。また、人材派遣会社で雇用している外国人労働者の受け入れを行うことで、採用から雇用までの外注化が可能です。
もし、外国人労働者の人材派遣をご希望でしたら、製造業に特化した派遣を行うキャリアリンクファクトリーにご相談ください。60カ国以上の多様なグローバル人材の派遣が可能です。また、企業様の業務に合った在留資格の提案や採用や在留資格の管理なども代行いたします。
まとめ
外国人労働者の活用は、労働力不足の解消やグローバル市場での競争力強化に繋がる有効的な手段になり得ますが、受け入れには在留資格の把握と確認が不可欠です。また、多くの知識や手間が必要となり、受け入れを進める上での障壁となりかねません。
外国人労働者の採用や雇用に長けた人材紹介・派遣サービスを活用することで、問題の解消が期待できます。外国人労働者の雇用をご検討されている方は、キャリアリンクファクトリーにぜひご相談ください。