派遣受入期間の制限と派遣先が気を付けたい抵触日の注意点を紹介

人材派遣
公開日:23.07.06/更新日:24.08.22
派遣受入期間の制限と派遣先が気を付けたい抵触日の注意点を紹介

「派遣社員を受入できる期間の制限が複雑すぎてわからない」「派遣の抵触日って何?」こんな疑問やお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

派遣受入期間の制限を受ける日のことを「抵触日(ていしょくび)」といい、抵触日を超えてしまうと労働者派遣法違反で罰則規定が科されることになります。

また、事前の準備を行っていない状態で抵触日を迎えてしまうと、派遣社員の受入ができない自体となり、突然の人手不足に陥るといった状況になる恐れがあります。

そのため、派遣受入期間の制限をしっかりと把握・管理しながら、計画的に派遣社員を受入していくことが重要です。

本記事では、派遣受入期間の制限と、派遣先企業が気を付けたい抵触日への注意点を紹介いたしますので、ぜひご覧ください。

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派遣受入期間の制限とは

派遣社員を受入れるには法令で定められており、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(労働者派遣法)」を遵守する必要があります。

派遣社員のキャリアアップと雇用の安定を図るため、2015年に労働者派遣法が改正され、派遣を行うすべての業務において、派遣できる期間は原則3年までとなりました。派遣可能な期間を超え、制限を受ける日のことを「抵触日」といいます。

派遣できる期間には、「事業所単位の期間制限」と「個人単位の期間制限」の2つの期間制限があり、その両方を理解し、抵触日を把握しておく必要があります。

事業所単位の期間制限とは

事業所単位の期間制限とは、同一の派遣先「事業所」において、3年を超えて派遣社員を就業させることはできないという期間制限です。

派遣法における「事業所」とは、雇用保険の適用事業所と同様の基準で、以下の要素にあてはまる場合に該当します。

  • 事業所の基準
  • 工場、事務所、店舗など、場所的に他の事業所から独立していること
  • 経営の単位として人事、経理、指導監督、働き方などにおいてある程度の独立性を有していること
  • 一定期間継続し、施設としての持続性を有すること

例として、工場、事務所、経理が本社として同じ建物にあり、雇用保険を本社で届出している場合、本社が事業所単位となります。本社のいずれかの部門で、初めて派遣労働者を受入れした日が、事業所単位の期間制限の起算日となり、工場・事務所・経理は同じ起算日でカウントされます。

事業所単位の派遣期間制限は、3年を限度として延長できる場合がありますが、派遣先事業所の過半数労働組合等から意見聴取することが必要です。

個人単位の期間制限とは

個人単位の期間制限とは、派遣先の「同一の組織単位」において、3年を超える継続した「同一の派遣労働者」の受け入れはできないという「派遣社員個人への期間制限」です。

派遣法における「組織単位」とは、課やグループなどの業務としての類似性・関連性がある組織で、その組織の長が業務の配分や労務管理上の指揮監督権限を有するものとされております。

個人単位の期間制限は派遣社員個人を対象とした期間制限であり、派遣元である派遣会社を変えても期間の制限は継続されます。また、派遣先の組織単位が変更になった場合は、同じ派遣社員が継続して働くことが可能です。

派遣受入のクーリング期間とは

派遣受入期間の制度(事業所・個人単位の期間制限)には、期間制限の通算期がリセットされる空白期間を「クーリング期間」といいます。

クーリング期間は、派遣社員の受入を連続して行っていない期間がカウントの対象です。

個人単位・事業所単位の期間制限ともに、クーリングに必要な期間は「3ヶ月超(3ケ月と1日以上)です。クーリング期間を過ぎると派遣受入期間のカウントがリセットされ、再び最大3年間まで派遣社員の受入が可能になります。

個人単位での説明
事業所単位の説明

派遣受入に関する2つの期間制限を理解する

派遣受入に関する2つの期間制限を理解する

上述したように、派遣受入期間の制限には、「事業所単位の期間制限」と「個人単位の期間制限」の2つの期間制限があり、制限を理解する上で難しい点となっております。2つの制限について、具体的な例で説明いたします。

派遣先の「事業所Ⅰ」で、「派遣社員A」を2020年4月1日に受入開始、「派遣社員B」を2022年4月1日に受入開始したとします。

まず、「事業所Ⅰ」の事業所単位の期間制限は、2023年3月31日となります。抵触日である2024年4月1日以降、「事業所Ⅰ」では(延長手続きを行わない限り)派遣社員を受入することができません。

続いて個人単位の期間制限では、「派遣社員A」は2023年3月31日、「派遣社員B」は2025年3月31日までが派遣可能期間です。

「派遣社員A」は3年間受入することができますが、「派遣社員B」は事業所単位の期間制限に抵触するため、2023年3月31日までの1年間が受入期間となります。

「事業所Ⅰ」が事業所単位の期間制限の延長手続きを行い(派遣先事業所の過半数労働組合等から意見聴取)、3年間延長した場合、2026年3月31日が事業所単位の期間制限となり、抵触日は2027年4月1日です。

個人単位の期間制限は、同一の組織単位で派遣社員毎それぞれに3年を限度とした期間制限が設けられますので、事業所単位の期間制限を延長した場合でも、「派遣社員A」の受入期間は2023年3月31日までとなります。一方、「派遣社員B」は、2025年3月31日まで受入可能です。

「派遣社員A」は同じ派遣先で組織単位が異なる「事業所Ⅱ」に異動することで、再び3年間を限度として受入することができる場合があります。

派遣受入期間の制限が適用対象外となる条件とは

派遣受入期間の制限が適用対象外となる条件があります。以下に該当する人(派遣社員)と、業務は適用対象外となり、派遣受入期間の制限を受けません。

派遣期間の制限が対象外となる人(派遣社員)

  • 派遣期間の制限が対象外となる人(派遣社員)
  • 派遣元(派遣会社)で無期雇用(期間の定めのない雇用)契約を締結している派遣社員
  • 年齢が60歳以上の派遣社員

派遣期間の制限が対象外となる業務

  • 派遣期間の制限が対象外となる業務
  • 有期プロジェクト業務(事業の開始、縮小又は廃止等のための業務であって一定の期間内に完了するもの)
  • 日数限定業務(1か月間の就業日数が、派遣先の通常の労働者の所定労働日数より相当程度少なくかつ月に10日以内のもの)
  • 産前産後休業、育児休業、介護休業を取得する派遣先の労働者の代役として同業務を行う場合

派遣先が気を付けたい派遣期間と抵触日の注意点

派遣先が気を付けたい派遣期間と抵触日の注意点

派遣受入期間が終了してしまうと、人材派遣を行うことはできません。事前に準備を行っていない状態で派遣期間の抵触日を迎えてしまうと、突然の人手不足に陥るといった状況になる恐れがあります。

また、期間制限を超えて派遣社員の受入を行うことは、労働者派遣法となり罰則が科されますので注意が必要です。派遣先が気を付けたい派遣期間と抵触日の注意点を紹介いたします。

しっかりと派遣期間と抵触日を把握する

派遣期間の制限である「事業所単位の期間制限」と「個人単位の期間制限」は、先に到来する期間が優先されるため、並行して管理が必要です。

「事業所単位の期間制限」は、同一の派遣先事業所全体でカウントされます。職場のみで派遣期間や抵触日を把握するのではなく、事業所単位でしっかりと連携し管理する必要があります。

「個人単位の期間制限」は派遣社員毎に抵触日が異なります。派遣社員によっては派遣期間の制限が対象外となる場合もありますので、派遣先管理台帳(派遣先企業が派遣社員毎に作成・更新する義務がある台帳)を活用し、個々の抵触日をしっかりと把握することが大切です。

複数の派遣会社を活用している場合における抵触日について

複数の派遣会社を活用している場合、一番初めに受入した派遣会社の抵触日が、派遣会社全体の事業所単位の期間制限となり、他の派遣会社の期間にも反映されますので注意が必要です。

例)2021年4月1日に「派遣会社A」から初めての派遣社員を受入開始し、その後2022年4月1日に「派遣会社B」から派遣社員を受入した場合、事業所単位の派遣期間は「派遣会社A・B」共に2024年3月31日(抵触日2024年4月1日)までとなります。

「派遣会社A」は3年間、「派遣会社B」は2年間が派遣期間です。ただし、派遣先事業所の過半数労働組合等から意見聴取した上で、事業所単位の派遣期間制限を延長させることで、3年を限度として延長される場合があります。

※派遣先事業所単位の抵触日は、派遣先企業が各派遣会社に通知(書面・FAX・メールなど、口頭での通知は不可)する義務がありますので、併せて注意が必要です。

派遣受入期間を超えて派遣社員の受入を行った場合どうなるか

違法に派遣された労働者は、その派遣先から労働契約を申し込まれたものとみなされます。これを「労働契約申込みみなし制度」といいます。労働契約申込みみなし制度が適用され、派遣社員が派遣先に直接雇用希望の申出があった場合、派遣先企業は直接雇用する義務が生じます。

引用:厚生労働省  派遣で働く皆様へ

まとめ

派遣社員の受入を行うには、派遣受入期間の制限をしっかりと把握し、抵触日を迎えないよう管理していくことが重要です。労働者派遣法をしっかりと遵守している派遣会社に依頼することで、派遣先と抵触日の管理を共有して行い、より安心して人材派遣を活用することができます。

個別のケースで抵触日に迷ってしまった場合は、ご利用中の派遣会社に相談することで、解決策を提示してもらえる場合があります。抵触日について迷った際はお問い合わせすることをおすすめします。

また、製造業の派遣をこれから導入していこうとお考えの企業様は、キャリアリンクファクトリーにお気軽にご相談ください。当社では、今回紹介した抵触日はもちろん、労働者派遣法などを守った派遣を行っております。

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